アマゾン ジャパンは、国立国会図書館(NDL)が所蔵し「近代デジタルライブラリー」で公開しているパブリックドメインの古書を、Kindle 版の電子書籍として「Kindleアーカイブ」で販売開始した。販売価格は1タイトル100円。購入した電子書籍は、専用リーダーの「Kindle」シリーズやタブレット「Kindle Fire」シリーズ、Web ブラウザ用リーダー「Kindle Cloud Reader」、スマートフォン/タブレット用 Kindle アプリケーションで読める。

国立国会図書館の貴重な古書が「Kindleアーカイブ」で入手可能に、しかし盛り上がらない電子書籍サービス
「羅生門」「学問ノススメ」「富岳百景」などが並ぶ Kindleアーカイブ
(出典:アマゾン ジャパン)

現在 Kindleアーカイブには、「羅生門(芥川龍之介)」「学問ノススメ(福沢諭吉)」「富岳百景(葛飾北斎)」「東海道五十三次図絵(安藤広重)」「小倉百人一首(菱川師宣)」「好色一代男(井原西鶴)」といったタイトルが並んでる。単に内容を読むというだけでなく、NDL の近代デジタルライブラリー所蔵品であることから「日本の古典的名著やその原典・初版本」が閲覧可能で、Kindle で手軽に「貴重かつ入手困難、文化的な価値の高い歴史的書物」を楽しめる。


国立国会図書館に所蔵されている古書のイメージ (出典:アマゾン ジャパン)
国立国会図書館に所蔵されている古書のイメージ
(出典:アマゾン ジャパン)

こうした取り組みは電子書籍ならではだが、電子書籍を取り巻く環境は明るくない。例えば最近では、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下の電子書籍配信サービス「TSUTAYA.com eBOOKs」がサービス打ち切りを発表している。また、電子書籍事業「kobo イーブックストア」を運営中の楽天グループは kobo 以前から手がけていた電子書籍ストア「Raboo(ラブー)」を閉鎖し、ソニーも電子書籍ストア「Reader Store」事業を段階的に縮小させている。

電子書籍は利便性が高いにもかかわらず、利用者はなかなか増えないようだ。ライフメディアの調査サービス「リサーチバンク」が実施した「読書に関する調査」によると、最近1年間に有料無料問わず電子書籍を利用した人の割合は約21%だけだった。また、最近1年間に利用した人に今後の読書方法を尋ねたところ、利用経験があるにもかかわらず「紙の本を利用したい」「どちらかといえば紙の本を利用したい」とした人が約57%も存在する。

最近1年間に電子書籍を利用しましたか? (出典:ライフメディア)
最近1年間に電子書籍を利用しましたか?
(出典:ライフメディア)

今後、紙の本と電子書籍のどちらを主に利用しますか? (出典:ライフメディア)
今後、紙の本と電子書籍のどちらを主に利用しますか?
(出典:ライフメディア)

電子書籍の利用状況については、インターネットコムと NTTコム リサーチも独自に調査している。そのなかで「電子書籍/雑誌を読みたくない」人は、「画面では読みにくい」(38.2%)、「紙の書籍/雑誌の方が好き」(38.2%)、「紙の書籍/雑誌で十分満足している」(33.7%)、「そもそも書籍/雑誌を読まない」(23.6%)、「電子書籍/雑誌を読むのに必要な専用リーダーの値段が高い」(15.0%)といった理由を挙げていた。

電子書籍/雑誌を読みたくない理由
電子書籍/雑誌を読みたくない理由

電子書籍が避けられる理由として、「サービス打ち切りで購入したコンテンツが読めなくなる」という懸念もある。ヤマダ電機が電子書籍サービス「ヤマダイーブック」の閉鎖を発表した際には、当初「購入したコンテンツが閉鎖後は閲覧できなくなる」のではと不安視され、ちょっとした騒ぎになった。

しかし、無料ではあるが NHN PlayArt のスマートフォン向け電子コミック サービス「comico」は好調で、人気作品「ReLIFE」を紙版単行本として販売しヒットを放つなど、“電子から紙”という従来とは逆の流れを生み出した。

好調な電子コミック「comico」 (出典:NHN PlayArt)
好調な電子コミック「comico」
(出典:NHN PlayArt)

小説などの文字を主体にするサービスは Kindle や Kobo といった一部サービスに寡占化され、電子コミックが電子書籍の新しい可能性を見出していくのだろうか。