Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

欧米では屋根付き電動リカンベントトライクが数多く販売されている。それらが開発された理由には、クルマから自転車に乗り換えた人をサポートするため、というものがほとんど。クルマのように雨が降っても濡れずに移動できるよう屋根付きにし、クルマのように多くの荷物を積載できるように電動モーター付きにした、というわけだ。

だが英国Grant Sinclairの電動アシスト自転車「IRIS eTrike」が開発された理由はちょっと違う。サイクリストの周囲はシェルで覆われているが、これは雨避けというよりも、より高速で走行するためのもの。そして高速走行時にサイクリストの身体を守るためのものだ。

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

「IRIS eTrike」のコンセプトは、「世界一速い通勤用自転車/カーゴバイク」。「IRIS eTrike」には「Extreme」モデルと「Eco」モデルが用意されているが、このコンセプトをより明確に体現しているのは「Extreme」モデルだ。

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

軽量で空力特性に優れたボディは、最高時速48キロでの走行を可能にしている。モーターにはミッドドライブタイプの750Wモーターを搭載。150Nmという高いトルクで55キロの車体をパワフルに動かす。

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

高速走行に対応するため、安全面にも配慮してある。そのボディはEPP製。スキー用のヘルメットなどが装着者の頭部を守るのと似た技術で、サイクリストの体全体を守る。「体全体にヘルメットを被っている」イメージを浮かべると、それが近いかもしれない。

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

リカンベントトライクは、特に平地での高速走行に適してはいるが、反面、車高が低いためにクルマのドライバーからは見えにくという安全上の欠点がある。「IRIS eTrike」は全高を128センチに設定。ドライバーの視界に入りやすいため、巻き込まれ事故などのリスクを低減できるそうだ。

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

リアには50リッターの容量を持つ荷室を装備。週末の買い物などにも対応できる。また、フードデリバリーなど、地域に根差したデリバリーサービスに使用する「カーゴバイク」としても利用可能だ。バッテリーは48V 20Ahのリチウムイオン。1時間の充電で最大80キロの走行が可能だ。

一方の「Eco」モデルの基本的な仕様は、「Extreme」モデルとほぼ一緒。だが、モーターとしては250Wのハブ内蔵タイプが採用された。「Extreme」モデルにはペダルを漕がなくても前進する電動バイクモードがあるが、「Eco」モデルではアシストモードだけがサポートされている。最高時速は40キロ。

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

開発者であるGrant Sinclair氏は、「IRIS eTrike」を開発した理由について次のように述べている。

「時速48キロ以上出すことができ、交通の流れにのって走行できる自転車を市販車レベルで開発・販売できることは、学生のときからわかっていた。《中略》だが、高速走行できる自転車の多くはリカンベントスタイル。これは地面に近いところに座るため、車道を走行すると、事故の犠牲になりやすい。私はもっと高い位置にアップライトに座り、サイクリストがもっと快適に、安心して街を走れる自転車を作りたいと思った。
《中略》
ブリストルに住んでいるとき、ブリストルからバースへ続くサイクリング道で、サイクリストが次々と、覆面を被った複数の人物に襲われるという事件が発生した。犯人の中には、野球のバットで武装したものもいたという。私はこの一件から、襲撃からサイクリストを守れる、EPPで覆われた自転車のデザインを思いついた」

Grant Sinclairの電動アシスト「IRIS eTrike」

価格は「Eco」モデルが2,999英ポンドで、「Extreme」モデルが3,499ポンド。現在同社のオンラインショップで予約を受け付けており、2017年第4四半期に納入を開始する見込みとなっている。