頭で考えた通りに、ロボットアームが動く…ミネソタ大学の研究者が実験に成功
画像出典:ミネソタ大学Webサイト

ミネソタ大学の研究者は、頭で考えるだけでロボットアームをコントロールできる研究で、大きな進展があったと発表した。身障者向けの、脳波で動作する人工手足の実現に向け、一歩前進したとしている。

実験では、被験者は頭部に“脳-コンピューターインターフェイス”を装着。このインターフェイスが検知した脳波により、ロボットアームを操作する。


この実験のポイントは、手術などにより脳にインプラントをしなくても済む点にある。主任研究員であるBin He氏は次のように述べている。

「脳へのインプラントなしで、単に頭で考えるだけでロボットアームを操作し、複雑な3D環境下で物体を掴めたのは、今回が世界で初めてのことだ。被験者は手を動かすイメージをするだけで、ロボットアームを動かすことができた」

実験に参加したのは8人の健康な男女。彼らは最初、コンピュータースクリーン上の仮想カーソルを脳波で動かすところからスタート。その後、ロボティックアームをコントロールし、テーブル上の特定の場所に置かれた物体を掴む訓練へと進んだ。

頭で考えた通りに、ロボットアームが動く…ミネソタ大学の研究者が実験に成功

やがて、彼らはテーブル上のランダムな場所に置かれた物体を掴み、3段の棚の指定された場所に物体を動かせるようになったという。

被験者がロボットアームを使い、特定の場所にある物体を掴める確率は、8人の平均で80%。物体をテーブル上から棚に移動させられる確率は平均で70%を超えた。

研究者は、次の段階として、脳-コンピューターインターフェイスをさらに進化させ、人体に装着した人工手足のコントロールできるようにしたいとしている。



まだ先のことになるだろうが、脳波でコントロールする人工手足を装着した人が、パラリンピックなどに出場する日が来るかもしれない。そうなると、例えば100メートル走などは、オリンピックよりも良い記録がでるようになるかもしれない。オリンピック・パラリンピックの精神はどうなるのか?という問題はさておき、観客にとってはよりエキサイティングな観戦体験が可能になるのではないだろうか?