太陽フレアのイメージ画像
(出典:米国航空宇宙局)

日本時間の9月6日夜に太陽の表面で巨大な爆発が発生した。「太陽フレア」と呼ぶ現象で、18時と21時の2回にわたってすさまじい量のガスや電磁波を発した。米国航空宇宙局(NASA)が9月7日付で観測結果をまとめた。

NASAによると、最初の太陽フレアはX2.2、続いてはX9.3という等級。A、B、C、M、Xという5段階のうち最上位だ。


太陽の活動には一定の周期があり、2008年からしばらく衰退の局面に入っているなかで、かくも激しい爆発が起きるのは珍しい。

2回の太陽フレアによって、水素、陽子などのガス、それにX線、光などの電磁波、総称して「Coronal Mass Ejection(CME)」と呼ぶものがあふれた。

NASAによると、CMEのほとんどは大気の層を通り抜けるのは難しい。したがって我々の身体はもちろんノートPCやスマートフォンなどが直接影響を受ける可能性は低く、よくSF映画や小説に出てくる電磁パルス(EMP)兵器のような被害がある訳ではない。

しかし大気の外で地球の軌道をめぐっている人工衛星にとって、CMEは無視できない。今後、スマートフォンなどで現在位置を調べるために利用するGPSなどになんらかの問題が生じる恐れはあるとNASAは指摘している。

国立天文台の鳥海森特任助教によると、これほどの規模の太陽フレアは11年ぶり。懸念すべき点を尋ねたところ、一般論としてCMEの到来によって地磁気に変化が起きたり、大気が膨張して人工衛星の軌道に干渉したり、人工衛星が帯電しショートすることはありえる。また宇宙飛行士などは船外活動(EVA)を控えなくてはならない可能性がある。

地上への影響の可能性も皆無ではなく、過去には送電施設などで変圧器に異常があらわれ、送電線に強い電圧がかかって支障が生じたこともあったという。一方で北極や南極などに近い地域では、CMEがもたらす美しい現象、オーロラが見える可能性もあるとしている。