3種類のロボットが活動(出典:神奈川県)
3種類のロボットが活動(出典:神奈川県)

神奈川県は、かねて開発を進めていた火山で活動ができる3種類のロボットを、箱根・大涌谷に投入した。その映像をYouTubeに公開している。もうもうと噴気を上げる土地で、巧みに作業をするようすは目を引く。

気象庁は、すでに箱根山(大涌谷周辺)の噴火警戒レベルを「1(活火山であることに留意)」に引き下げているが、大涌谷の立入規制は継続中。現在も高い濃度の火山ガスを観測しているためだという。安全の確認には一定の期間がかかるそう。


今回のロボットは人が近寄れない区域で監視や作業を行うために、神奈川県が2015年に立ち上げた「火山活動対応ロボット緊急開発プロジェクトチーム」による成果。それぞれ役割の異なる3種類が登場している。


まず「火山活動対応ドローン」。空を飛ぶ小さなロボットで、情報収集が任務。日本サーキット、アート1、オキノ工業が開発した。温度計測のための赤外線サーモグラフィーを備え、GPSを使った自動運転機能や、障害物センサーによる衝突回避機能を持つ。

火山活動対応ドローン(出典:神奈川県)
火山活動対応ドローン(出典:神奈川県)

続いては「火山活動対応地上走行車」。地上をゆくクローラー(履帯)を備えたロボットで、情報収集だけでなくさまざまな作業も行う。移動ロボット研究所、理研計器が開発した。小さなクレーンで、火山ガス濃度などを調べる計測器を運び、設置できる。

火山活動対応地上走行車(出典:神奈川県)
火山活動対応地上走行車(出典:神奈川県)

最後は「火山活動対応地すべり警報システム」。空を飛んで荷物を運べるロボットを利用するが、主役はむしろ運ぶ荷物の方かもしれない。開発したのは菊池製作所、イ・エム・テクノ、自律制御システム研究所。センサーを大涌谷の谷内部に設置し、地すべりの兆候を把握して、400m以上離れた場所へ無線で警告する。

火山活動対応地すべり警報システムで使うドローン
火山活動対応地すべり警報システムで使うドローン

設置するセンサーのイメージ
設置するセンサーのイメージ

センサーには、ロボットでの運搬を可能とするための機構や、地熱による故障、火山ガスや温泉成分による腐食を避けるための耐性を持たせる。これは2月下旬に設置予定だ。

1つ1つのロボットは地味だが、まずドローンが偵察し、その情報をもとに地上走行車と地すべり警報システムを展開していくという「チームプレイ」が面白い。