ロボットで出社するようす

7月24日は「テレワーク・デイ(テレワークの日)」。自分のかわりにロボットに出社してもらおうと開発を進める人も登場している。

テレワークとはITなどを駆使して、時間や場所を有効に生かした働き方。在宅勤務はもちろん、かつて「スターバックスでMacbookを開いて仕事」と話題になった「ノマド」などのモバイルワーク、サテライトオフィス勤務などをまとめて指す。もともとは官公庁が提唱している言葉で、テレワークの日という運動でも国からの掛け声が大きい。


さて、なぜ7月24日がテレワークの日になったかというと、この日が2020年の東京オリンピック開会式に当たるためだ。

2012年のロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会では、交通混雑によって移動に支障が生じるとの予測から、市内の企業が数多くテレワークを導入したという。その事例にならって日本でも普及を進めようという考え。

7月24日はテレワークが可能な企業で、通勤電車やマイカーなどを極力利用せず、始業~10時30分までテレワークを一斉に実施したという。もちろん、いつもと変わらぬ朝のすし詰めや道路混雑を体験した人には、効果のほどはまだピンと来ないかもしれないが、なにごともきっかけが大事、ということだ。

そうしたなか一風変わった取り組みも登場している。自分の代わりに遠隔操作できるロボットに出社してもらおうというのだ。

東京都の企業、オリィ研究所の吉藤健太朗氏によるもの。もともとALS(筋萎縮性側索硬化症)患者向けの意思伝達装置や分身となって動くロボットの開発を手掛けている。

7月24日に吉藤氏がTwitterに投稿したのは、オリィ研究所のロボット「OriHime(オリヒメ)」が、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかぶった本人と連携して動作するようす。なかなかかわいらしい。

HMDで遠隔操作するようす

今やクラウドと呼ぶインターネット上から遠隔地のコンピューター環境を利用できる仕組みや、通信環境の発達により、業務そのものをテレワークでこなすのは難しくない。あとは人間同士がひとつの場所に集まることで得られるコミュニケーションをどう補っていくかだが、代理となるロボットを出社させるというのは悪くない発想かもしれない。


ちなみに、すでに別の東京都の企業エクシヴィは、社長の代わりにクマのヌイグルミが席につく「VR出社」を試みている。もともと仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術開発を手掛けており、HMDや全天球カメラを組み合わせて実現した。単なるビデオ会議システムではなくヌイグルミという人間の代理になる存在を配置したのが注目を浴びた。

ロボットにヌイグルミ。どちらもユーモラスだが、しかし今後のテレワーク定着のためには、意外に重要な取り組みかもしれない。