カシオの超高級電卓
お値段3万円の超高級電卓

カシオ計算機が作った超高級電卓「S100」が再びインターネット上で話題になっている。3万円(税込)という販売価格に加え、アルミ切り出しの筐体(きょうたい)などの特徴も関心を集めているようすだ。

S100は2015年に発売した製品。カシオが最初の電卓「001」を出してから50周年を迎えたことを記念するモデルだった。


カシオの電卓には、普段の事務作業で四則演算などをすばやくこなすための一般向けと、技術者や研究者がサイン、コサイン、タンジェントなどの関数を駆使して複雑な演算をこなす専門家向けがある。

S100は一般向けとしては断トツの「フラッグシップ」機として、徹底して妥協を排してパーツを選び、設計、開発しており、発売から2年を経た今も頂点に立ち続けている。

S100の製品イメージ
一般向けの頂点に立つフラッグシップモデルだ

まず表示部に業界初となる両面反射防止コーティングを施したディスプレイを備え、光の映り込みを大幅に低減したほか、高コントラストの「FSTN」液晶を採用しており、視認性に優れる。

反射を抑えた表示部
光の反射を抑えた表示部

キーも業界初となるV字ギアリンク構造を採用。押したときに横にぶれないようにし、薄型ながら安定感を持たせた。またキー同士の間隔を空けて配置し、より打ちやすくしている。

V字ギアリンク構造
キーの下がこうなっているので、ブレなくて安定感がある

さらにキーの数字は通常の印刷ではなく2色成型で仕上げ、長期間使ってもすり減って消えないようになっている。

2色成型のキーのようす
キーがすり減っても数字が消えない

入力時には、キーを離す途中から次のキーを押し始めても最大3つまで数値を認識する仕様で、早打ちにも対応する。これに加え人間工学に基づき、キーの形を指の動きに合わせて配列ごとに変えている。

表示部とキーが収まる筐体の主要部はアルミの塊から削り出し、表面には耐食性を高めるアルマイト処理と質感を増すヘアライン仕上げ、外周に光沢を放つダイヤカット加工、切り捨てや四捨五入の設定を行うセレクターに輝きのあるスピン目仕様をそれぞれ施している。

ダイヤカット加工を施している
外周のダイヤカット。アルミ削り出しを強調する

外箱も専用デザインで、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

外箱のシックな雰囲気
電卓の外箱にすごくこだわるカシオ

S100は最近また、匿名掲示板「2ちゃんねる」とそれを利用するまとめブログで注目を浴び、あらためて賞賛を得ている。

S100のスペックデータ
一般向け電卓としては十分な性能

発売から月日が経ったあともファンが幾度も繰り返し語るという意味で、1972年に発売した世界初のパーソナル電卓「カシオミニ」や1983年に発売した厚さ0.8mmのクレジットカード型電卓「SL-800」などと同じく、電卓史に名を刻むモデルになったと言えるのではないだろうか。

往年の電卓シリーズ
左から001、カシオミニ、SL-800