
「WISA Woodsat」は、CubeSat(キューブサット)と呼ばれる小型人工衛星。衛星放出機構から放出できる標準サイズの中でも「1U」(10x10x10cm)を採用している。
だがその素材は標準的とは言えないもので、筐体には木材が使用されている。宇宙への放出で必要となるレールや外部に取り付けられた自撮り棒などで一部金属が使われているが、それ以外では合板が使用されているのだ。
合板はカバノキ材製で、基本的には家具などで使用されているのと同じもの。ただし、そのままでは含まれる水分が多すぎるため、熱真空チャンバーにいれて乾燥させるなどの処理が施されているという。
木製人工衛星には2台のカメラが搭載され、うち1台は自撮り棒に装着される。自撮りカメラは、宇宙空間が木材に与える影響 ―色の変化やひび割れなど― を、衛星の外部から撮影する。

木製人工衛星プロジェクトを立ち上げたのは、フィンランドの作家Jari Makinen氏。同氏は実用レベルの人工衛星を、教育・ホビー目的で製造・販売するArctic Astronauticsの共同創業者としても知られている。Jari Makinen氏は木製の人工衛星プロジェクトを立ち上げた理由について次のように語っている。
「私は昔から、木製パーツを使って模型飛行機を作るのが好きだった。だが宇宙教育の分野に踏み込んだときにふと疑問を感じたんだ。“どうして木製の材料を宇宙に飛ばさないのだろうか?”と」
Jari Makinen氏は今回の木製の人工衛星の打ち上げで、より多くの人たちが宇宙開発に関心を持つことを願っているという。
「WISE Woodsatは伝統的な北欧デザインの観点から見ても、シンプルで美しいオブジェだ。それが軌道上にあるのを見るのはとても興味深いだろう。私は、木製人工衛星によって多くの人が宇宙開発分野に興味を持つことを期待している。また、宇宙開発がすでに私たちの生活に影響を与えていて、影響は今後さらに大きくなっていくことを知ってほしいと願っている」
