LINEの画面イメージ

LINEではみんなが携帯電話番号を登録して利用し、人と人とのつながりも現実の交友関係と結びついているため、メールやTwitterと異なりあやしげなスパム(迷惑メッセージ)と無縁。そういった印象は過去のものになりつつある。「通報」機能の拡張がそう暗示している。

このほど、LINEのAndroidスマートフォン版アプリケーションが更新。まだ「友だち」に追加していない、あやしげな人物が画面にあらわれた際、プロフィール欄を確認したうえで、そのまま「通報」してブロック(遮断)できるようになった。iPhone版アプリで導入済みの機能だが、より多様な機種で利用可能になった。すでに「トークルーム」や「タイムライン」から通報する機能もあるが、今回はそれらに続くもの。


通報を受け取ったLINEの運営側は、相手がスパム目的であるなどと判断すれば利用停止などの措置もとる。最近Twitterがしゃかりきに進めている「凍結」のようなものだ。

使う人の安全を守るうえで役立つように思えるが、反面LINEの「治安」が必ずしもよくない状況を反映してもいる。

社会インフラとして定着しつつあるLINEは、一方で迷惑電話やスパムメールと同じく、悪質業者にとって重要な商売道具になりうるところにいる。

LINEでは、セキュリティ組織による検証や、内外の専門家からの報告に基づくアプリの脆弱性(ぜいじゃくせい)の解消に取り組んできた。また例えば電話番号をもとに友だち追加を一定期間内に大量に行う人物を自動でブロックするなどの対策も行っている。しかしいまだスパムを根絶できている気配はない。かくして、並行するかたちで使う人の自衛手段として通報機能を拡充しているのだ。

はたしてスパムの抑制にどこまで効果があるか注目したいところ。ただ利き目があったとして、また別の懸念も生じる。似た発想で「治安」問題を改善しようとしたTwitterは、今や通報そのものが嫌がらせ、攻撃の手段になり、一般的な感覚では納得しかねるような「凍結」が続発し、使いづらくなっている側面がある。もちろん開かれた交流に重きをおくTwitterと、閉じた交流が中心のLINEとアプリの性格は異なるが、同じ失敗におちいらない工夫は求められる。