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疲れ知らずのマッサージロボ「Emma」 ― 昔ながらのマッサージ技術と、最新のIT技術のマリアージュ

マッサージロボ「Emma」
(画像はシンガポール南洋理工大学のWebサイトから)

「Emma」はシンガポールのスタートアップ企業AiTreatが開発を進めているマッサージロボット。同社創業者であり、シンガポール南洋理工大学の卒業生であるAlbert Zhangさんが開発した。

開発の目的は、スポーツリハビリテーションなどの分野で、理学療法士をサポートし、セラピストとして働くマッサージロボットを製造すること。今後発生しうるセラピスト不足を、ロボットによってカバーすることだ。Zhangさんはセラピストが今後足りなくなると見られる理由について次のように説明している。

「多くの先進国同様、シンガポールは高齢化の問題を抱えている。次の10年、より多くの人が関節炎などの疾患に苦しみ、治療を必要とするようになるだろう。だが若い世代は、マッサージセラピストのような身体的に負荷のかかる仕事よりも、知識集約型の仕事に就きたがる傾向にあるため、将来的には、訓練されたセラピストが不足するとみられる」

電動のマッサージ器はすでに何十年も前に実用化されている。それら従来型の電動マッサージ器と「Emma」との違いは2点あるという。

1つ目は、患者の症状に合わせた最適なマッサージを提供できること。腰痛、首の凝り、肩の凝り、テニス肘、そして肉離れなど、様々な症状に応じたマッサージパターンが登録されており、理学療法士はそれらから適切なものを選択できる。

2つ目はセンサーが取り付けられていること。センサーは特定の筋肉や腱の張りや凝りを計測。「Emma」はそれをデータ化してクラウドにアップロードし、患者ごとのカルテとして記録する。このデータにより、理学療法士と患者は、回復状況を数値で追いかけることが可能になる。

現在、「Emma」はシンガポールの医療センターで臨床実験中。すでに50人ほどの患者に使用され、肯定的なフィードバックを得ているという。

現在の実験が終了した後は、第2世代のロボットが製造される予定。第2世代はよりコンパクトで携帯性が高められたものとなるそうだ。Zhangさんは「Emma」の可能性について語る。

「我々が示したのは、高度な医療を提供できる上に、疲れることのない医療マッサージセラピストの持つ可能性だ」

(画像はシンガポール南洋理工大学のWebサイトから)
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