ScanEagleのイメージ
米国のScanEagle。燃料電池を搭載して飛べる(出典:Insitu)

橋や道路の検査、災害状況の確認などさまざまな用途があるドローン(無人航空機)。難点のひとつはバッテリーの保ちで、あまり長時間は飛べない。そこで水素を動力にした「燃料電池」に期待がかかっている。

飛べる時間を伸ばしたい

米国の「COMMERCIAL UAV NEWS」というニュースサイトの報道が面白い。そこではまずドローンの世界で注目を浴びる、空を飛ぶ時間の延長に役立ちそうな3つの技術を挙げている。(1)マイクロフィラメントなどでできた軽く細く強い動力ケーブルをつないだ有線方式にする、(2)超短時間でバッテリー交換を行う、(3)ドローンの翼に太陽光パネルを搭載する、といった具合。

それぞれCyPhy Works、ASYLON 、AeroVironmentという企業を例に挙げている。どれもなかなかよさそうだが、加えてさらに興味深いのが(4)ドローンに燃料電池を組み込むという方式だ。エンジンなどの内燃機関に比べ可動部が少なく、軽く安定性に優れた製品が作れる一方、リチウムイオン電池に比べ大容量にできる、といった利点がある。

代表例として米国のProtonex、中国のMMCという2つの企業の取り組みを挙げている。

固定翼のScanEagle

スキャンイーグル
固定翼を備えたScanEagle(出典:Insitu)

まずProtonexの新型燃料電池システムを組み込んだ「ScanEagle(スキャンイーグル)」というドローンの改良版を見てみよう。ジェット機などと似た固定翼を備え、なんと24時間以上も空中に留まれる。全長1.55m、翼の長さは3.11m、離陸重量は22kgで、秒速41.2m(時速150km弱)で天を翔け、海抜5,944mの高さに達する。

航空大手Boeing(ボーイング)の子会社Insituが開発したもの。前述の高性能から察しの通り、ScanEagleそのものは米軍などが導入した兵器だが、もともとは民間向けの技術を転用したもので、最近また民間での導入が可能になりつつある。

回転翼のHyDrone

ハイドローンのイメージ
回転翼のHyDrone 1550(出典:MMC)

次に中国のMMCが開発している「HyDrone(ハイドローン)1550」は、ヘリコプターなどと似た回転翼を備え、2時間半ほど飛び続けられる。サイズは1,550×1,342×610mm。離陸重量は18.5kg。秒速10m(時速36km)で飛び、海抜2,500mの高さまで昇れる。

カーボンファイバー製で防雨、防塵、防風性がある。燃料電池は滞空時間の長さだけでなく、低温環境の影響を受けにくいのも利点としている。送電線や石油施設の検査、森林消防などで利用しているそう。

ちなみに兄弟機としてHyDrone 1800も登場している。こちらは4時間以上空中に留まれる。アラブ首長国連邦で開いた国際防衛産業展示会(IDEX)に出展したというから、軍用の意味合いが強いのかもしれない。

ハイドローンのイメージ
HyDrone 1800も登場している(出典:MMC)

ちなみにProtonex、MMCとも燃料電池システムだけをほかのドローンに組み込むような使い方が可能だとか。

まだ一般の人が手軽に買える訳ではないが、あるいは燃料電池車が我々の暮らしにとって当たり前になる未来では、こうした燃料電池ドローンも身近な存在になっているだろうか。