肥満をおさえる「糖」のつらなり、糖鎖を、理化学研究所(理研)が発見した。
肥満は高血圧症や糖尿病、動脈硬化などのリスク因子。肥満にともなって脂肪細胞が肥大、増殖すると、代謝の異常や各種生活習慣病の発症につながる。
理研では、肥満とヒトなどの体内にある糖鎖がかかわっているのではないかと考え、研究を進めてきた。
糖鎖とは、糖が鎖状につながってタンパク質などに結合したもので、体内にある半分以上のタンパク質は糖鎖を付けた状態で存在している。糖鎖の構造や量の変化は、がん、糖尿病、アルツハイマー病などの原因になり得るとすでに分かっている。そこで肥満とも関係するのではないかと仮説を立てた訳だ。
理研が実験としてマウスを肥満にさせて体内を調べたところ、「α2,6シアル酸」という糖を持つ糖鎖の量が大きく減少していた。
体内でこの糖を作るための遺伝子の働きが「オフ」になったためだという。逆に強制的にこの糖を作らせるようにすると、脂肪の蓄積量が減少することが分かった。
どうやらこの糖は糖鎖の一部として特定のタンパク質と結びつき、脂肪細胞の増殖をおさえているらしい。
今後は肥満に関連する疾患を考えるうえで、この糖を利用した新しい治療法の開発が期待できると、理研は分析している。
一方、逆に動物などをより簡単に太らせることも可能かもしれない。実際に理研は肥満しやすいマウスを作り出している。