原子力発電所の写真
(出典:ベロヤルスク原子力発電所)

日本の高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉をめぐって話題が盛り上がっている。ロシアの高速増殖炉「BN-800」にも再び関心が集まるだろうか。

BN-800はウラル地方ベロヤルスク原子力発電所に建設した設備で、発電能力は最大880メガワットといい、もんじゅの3倍。研究のために作ったもんじゅと異なり、ロシアの産業向けに電力を供給する「商用」面の働きにも期待がかかっている。


国営原子力企業ロスアトムは2015年、BN-800を送電網につなぎ、試験を経たのち2016年10月末にはフル稼働体制に入らせている。

BN-800は世界でも一定の注目を浴び、米国のエネルギー専門誌「POWER」の賞も得た。発電能力、プルトニウムの再処理能力、TRUウラン廃棄物処理などを審査した結果という。

どのように考えるべきだろうか。こうした高速増殖炉は冷却のために使う金属ナトリウムが空気に触れると発火する恐れがあり、過去にもんじゅでは事故が起きた。また運転するほどに扱いの難しいプルトニウム燃料を増やせる能力にも賛否がある。

もっともPOWER誌が取り上げるように、核兵器の材料になる「兵器級プルトニウム」を処分できるなどの特徴もある。

近年の欧米では高速増殖炉の開発に慎重な姿勢が目立つ一方、ロシアや中国、インドなどは開発を推進している。ロシアは「BN-1200」という、より発電能力に優れた高速増殖炉を稼働させる計画もある。

なお先日の日露首脳会談に関連し、ロスアトムは日本の経済産業省・文部科学省と原子力の平和的利用に関する協力覚書に調印したと発表している。ロシア国営メディアの報道によると、ロスアトムは覚書をもとに、日本と高速増殖炉をめぐって協力体制を作る可能性があるという。