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BN-800(出典:実験機械製造設計局)

日本ではいまだ運転再開のめどが立たない高速増殖炉「もんじゅ」。ロシアは一足早く、同じ原理の新型炉を送電網につないだ、との話題がインターネット上で盛り上がっている。どこまで信じたらよいのだろうか。

RT、スプートニク、プラウダといったロシアの著名ニュースメディアは12月11日、ウラル連邦管区スヴェルドロフスク州にあるベロヤルスク原子力発電所で、「BN-800」高速中性子炉(高速増殖炉と仕組みは同じ)を送電網につないだと一斉に伝えた。ロシアは産業規模の発電に高速中性子炉を動かす唯一の国だと誇っている。

BN-800は、先代のBN-600の実績をもとに完成させたという。発電能力は最大880メガワットといい、これはもんじゅの3倍だ。

高速中性子炉では、設備の冷却のために使う金属ナトリウムが空気に触れると発火する恐れがあり、過去にもんじゅでは事故が起きている。また運転するほどに扱いの難しいプルトニウム燃料を増やせる能力にも賛否がある。

ロシアでの新型炉の送電開始報道をどう受け止めたらよいのだろうか。

ひとまず、もんじゅなどを管理する国立原子力研究開発機構(JAEA)に、BN-800の状況についてどのように評価するかを問い合わせたところ、窓口に出た広報課ではまだまだ詳しい内容を把握していないとのこと。ただし他部署と情報を共有し、何がしか分析、コメントを出す場合はあらためて回答するそう。

【追記 2015/12/15 10:00】

JAEAの広報課よりコメントが寄せられた。高速増殖炉開発関連部署に確認したところ、今回の送電網接続については、海外のニュースサイトを通じて認識しているのみで、ロシアの関連機関などからの情報は受けていない。このため信憑性、真実性について判断はできず、現時点で何らかのコメントをする立場にはないとのこと。

JAEAも、BN-800の動向を見てはいるものの、目下は評価を差し控えるということらしい。