ロケット打ち上げ風景

気象予報会社のウェザーニューズは気象や海の状況を観測する独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の打ち上げが成功したと発表した。7月14日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズロケットに載って宇宙へ飛び立った。

ウェザーニューズの独自衛星としては2機目。2013年にも北極海の海氷を観測するため「WNISAT-1」を宇宙へ送り出しているが、機器の故障などもあり当初計画していた役割を変更している。


後継機となるWNISAT-1Rは2014年から人工衛星メーカーのアクセルスペースと開発し、2015年に完成。2年ほど打ち上げの機会を待ってようやく地球をめぐる軌道に乗せた。

人工衛星の製品写真
衛星(C) Soyuz/Fregat and Glavkosmos team

ソユーズロケット
(c) Soyuz/Fregat and Glavkosmos team

6台の光学カメラを使って、船舶の安全運航に影響を及ぼす夏期の北極海や、冬期の渤海・セントローレンス湾などの海氷を観測する予定。

最近はロシアのLNG開発プロジェクトが活発になり、極東からの建設資材やモジュール輸送、生産開始後のLNG輸送のため北極海航路が注目を浴び、安全航海のために精度の高い海氷の情報を求める声が高まっているそう。

しかし北極海に関する情報はまだ非常に少ない。そのためWNISAT-1Rは航海の時機に合わせて必要な区域の実況を取得し、現在観測に使っている気象衛星と組み合わせ、よりきめ細やかな情報を把握する考え。

また日照条件や天候に影響を受けない観測方法を確立するため、GNSS衛星からの反射波を用いて地球表面の状態を観測するGNSS-R試験観測も行う。うまくゆけば、曇りの日や夜間でも海氷の分布を把握できるようになる。

台風や火山の噴煙観測もする考え。台風の広がりや火山灰の拡散状況の撮影だけでなく、移動しながら撮影するステレオ撮影によって雲頂高度や噴煙の到達高度を割り出す立体観測に挑戦する。

衛星が集めたデータはウェザーニューズによる気象予報などの精度向上と、船舶・航空機向けの運航支援サービスに生かす。