そうだ、北陸行こう

 今年3月にあった北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業から早くも3か月以上が過ぎました。10年くらいかけている普段使いの眼鏡が、フレームは歪んでレンズも傷んできたし、いっそのこと新幹線に乗って鯖江で眼鏡を買ってこよう!と、急遽金沢・福井旅行を思い立ちました。旅行中の素敵な出逢いについてご紹介します。

石川の金箔と福井の眼鏡の融合

 旅行二日目、兼六園の桂坂口で出会ったタクシー運転手さんが着けていた腕時計が、あまりにも素敵だったので場所を教えてもらい、急遽訪れた「金箔屋さくだ」。
 有名な近江町市場から歩いて15分、ひがし茶屋街からは3分ほどのところに「金箔屋さくだ本店」はあります。入り口すぐ目の前にお目当ての腕時計「IGATTA COLLETTI(イガッタコレッティ)」が陳列されており、腕時計が前面に押し出されています。漆器・眼鏡素材を使った商品を手掛ける、福井県鯖江市の株式会社サンユーが製造するアセテート製バングルと、金箔やプラチナ箔でできた文字盤は石川県金沢市の金箔屋さくだで作られたており、まさに北陸ならではの高い技術を詰め込んだ腕時計です。
 文字盤は金とプラチナの銀、バングルはブラックやべっこう模様、その他の色もあり、文字盤とバングルは取り外しが可能で何通りもの組み合わせができます。全体的に細めの女性用が33,000円(税込)、太めの男性用が36,300円(税込)。ネットの写真には載っていなかったカラーも店頭にありました。
 仕事中は腕時計を外すので、腕時計が自立式だったら、あと日付も分かると個人的には嬉しかったかな、というのが本音。それらを考慮しても、本当に気に入った色の組み合わせでオシャレな腕時計をいつも身に着けられるのは、とても気持ちが上がります。




肌身離さず着けていたい、美しい腕時計
(参照:株式会社サンユーHPより)

買い物以外にも金沢ならではの体験が

 自分のお土産を買った後、さくだ本店の見どころ一つ目として、店内に併設された金箔工房があります。職人さんが分業制で金箔を作っている隣で、製造工程の説明をコンパクトに受けられます。工房での空調による風や静電気は厳禁、そして職人さんの手によって完成した金箔は下から見ると天井が透けるくらい薄い。完成した金箔を、職人さんが丁寧に紙に挟んでいきます。やさしく吐息を吹きかけてやると、金箔が水面のように広がり、紙に張り付きました。 
 ここでオリジナルの金箔箸作りなどの体験もできますが、後日さくだのHPを見ると『材料費等の高騰により、2024年7月1日より価格の改定をします』とのこと。体験内容によって200円から400円値上がりします。

 二つ目の見どころは、本店2階にあります。金屏風などの美術工芸が並ぶギャラリーがありますが、ここでは是非トイレを利用してみてください。特に女性用には金箔、男性用はプラチナ箔が一面に貼られており、こんな空間にいることが何だか落ち着かないような、ゴージャスなセレブ気分になったような、一見の価値ありです。
 一か所で金沢ならではの体験と北陸の技術が詰め込まれた買い物ができる場所は、なかなかないのではないでしょうか。こんな素敵なお店を教えてくれた、偶然出逢ったタクシー運転手さんには感謝しかありません。有名な観光スポットからも歩ける距離なので、北陸に旅行に行った際は是非行き先に追加してください。


株式会社金銀箔工芸さくだ
本社・本店/〒920-0831 石川県金沢市東山1-3-27
営業時間 9:00 ー 18:00 (季節により変動あり)


金箔が壁一面に貼られた女性用お手洗い
(参照:金沢観光推進委員会より)

ホームの柱を見上げてみよう

 金沢駅といえば鼓門が有名ですが、北陸新幹線を降りたホームにある柱に目線を上げてみてください。金箔がびっしり貼られており、眩しい光を放っています。新幹線ホームは、何かと急いで通り過ぎてしまう慌ただしい場所かもしれませんが、金沢駅を利用した際は一歩足を止めて、ここでしか見られない光景を味わうのも旅行の醍醐味です。



金沢駅新幹線ホームの金箔柱
(参照:金沢駅 伝統的工芸品探訪HPより)