
「NAWA Racer」は2020年のCESでコンセプトモデルが公開された電動バイク。ウルトラキャパシタが電動ビークルでどのように活用できるのかを示したこのモデルは世界中からの注目を集めました。NAWA Technologiesは次のステップとして、走行可能プロトタイプの開発に乗り出したとしています。

「NAWA Racer」の外観は、1960年代のカフェレーサーにインスパイアされたもの。カフェレーサーは、カフェから隣のカフェまでの短い距離を移動するバイクでしたが、これはそのままウルトラキャパシタを搭載した「NAWA Racer」のコンセプトとされています。
「NAWA Racer」の最大の特徴は、2つのバッテリーからなるシステムを搭載している点にあります。システムは上半分と下半分に分かれていて、下半分には従来型のリチウムイオンバッテリーが、そして上半分にウルトラキャパシタが装備されています。

「NAWA Racer」は回生ブレーキを備えていて、減速時に発電します。通常の電動バイクではこの電力でリチウムイオンバッテリーを充電するのですが、リチウムイオンバッテリーは充電に時間がかかるため回生エネルギーを効率良く蓄電できません。
ここで活きてくるのがウルトラキャパシタ。回生エネルギーの80%以上を蓄電できるため、特にゴー&ストップを繰り返す都市部では高効率で蓄電できます。これが「NAWA Racer」が航続距離を倍にできる秘密となっています。
「それならリチウムイオンバッテリーは搭載せず、ウルトラキャパシタだけにすれば?」
そんな風にも思ってしまいますが、ウルトラキャパシタにはエネルギーを短時間に放出してしまうという欠点があるそう。ウルトラキャパシタとリチウムイオンバッテリーを組み合わせることで双方の欠点を補い合い、効率の高い電動ドライブトレインを構築できるそうです。

航続距離はあまり伸びないのだとか
NAWA Technologiesは今後も自社で電動バイクを製造することはないとしています。でも、バイクメーカーや自動車メーカーに同社のシステムを販売していくということなので、プロトタイプの公表後には、都市部での省エネ走行に強い電動バイクや電気自動車が登場するかもしれません。