Gyoukouのイメージ

スーパーコンピューター開発を進める日本のベンチャー、ExaScalerとPEZY Computingは、新型機「Gyoukou(暁光)」 の性能向上を発表した。純粋な計算能力を競う世界ランキング「TOP500」で3位相当となった。PEZYグループの助成金不正疑惑をめぐる報道があるなか、技術者達の手で改良が続いていることを示した。

Gyoukouは海洋研究開発機構(JAMSTEC)横浜研究所に5月設置したばかりのスーパーコンピューター。本体を絶縁性の液体にひたして熱を効率よく逃がす液浸冷却システムを特徴の1つとしている。

新たな改良によりTOP500に照らして日本1位、世界3位相当、エネルギー効率の世界ランキング「Green500」では日本4位、世界4位相当の実力を示したとする。

ちなみに11月時点ではTOP500で日本1位、世界4位、Green500で日本4位、世界5位に入っていた。

今回はCPUを1万個組み込んだ構成で、 スーパーコンピューターの性能計測の標準であるLINPACK方式で20.41PFLOPS(ペタフロップス)という成績を記録している。これは浮動小数点数演算という計算を1秒間に2京回以上行えることを示す。京は兆の1万倍。また実行効率は72.4%、消費電力当たりの演算処理性能は16.34GFLOPS/Wを達成したとする。

こうしたスパコン開発は我々の生活から縁遠いようだが、実際は見えないところで大きな影響をもたらすと見られる。スパコンはかつて主に核ミサイル戦略など国防に重要だったが、最近は従来は治療が難しかった病気に対応する医薬品の開発や、先端工業での活躍に期待が集まる。

それぞれの分野で主導権をとるためにも、科学技術力をたのみとする国々はスパコン開発を競ってきたが、特に世界ランキングの代表格であるTOP500では中国の躍進が著しく「神威太湖之光(Sunway TaihuLight)」「天河2号(Tianhe-2)」といった新世代が、日本が誇るスパコン「京」などを突き放し上位に君臨する。

一方、日本で台頭したGyoukouは、液浸冷却システムに加え、いわば頭脳の中核となるメニーコアプロセッサー「PEZY-SC2」を武器に先頭を走る中国勢に肉薄している。「中国の2台を除いて、その他の国では最も性能の高いスーパーコンピューター」と開発元は胸を張る。

もっとも当然ながら競合するメーカーも改良を進めており、2018年6月公開見通しの次回のランキングがどうなるかは明らかでない。

なおシステム開発にあたり、 ExaScalerは科学技術振興機構(JST)の「産学共同実用化開発事業(NexTEP)未来創造ベンチャータイプ」の支援を受けているとしている。課題名は「磁界結合 DRAM・インタフェースを用いた大規模省電力スーパーコンピュータ」。またPEZY-SC2開発にあたり、PEZY Computingは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の支援を受けているという。課題名は「非接触型磁界結合通信を用いた高密度実装プロセッサデバイスの開発(実証開発フェーズ)」。