東農大と東工大の成果
人工細胞の中でDNAをコンピューターとして使うしくみ

生物の遺伝情報を格納した「DNA」。日本の大学が、それを人工細胞の中でコンピューターとして使うことに成功した。人間の体内に入って医療や診断をする目に見えないほど小さな機械、分子ロボットの開発に役立つ。

東京農工大学工学研究院生命機能科学部門の川野竜司テニュアトラック特任准教授、東京農工大学大学院生の大原正行氏(当時)、東京工業大学情報理工学院情報工学系の瀧ノ上正浩准教授のグループによる成果だ。

DNAは、生物の体のもとになる小さな分子を作り、動かす設計図。これを応用し、コンピューターの働きをする分子を作りだそうという「DNAコンピューティング」の研究が世界で進んでいる。

特にマイクロメートルからナノメートル単位の大きさの分子ロボット、一部は俗にナノマシンとも呼ぶ機械に利用できるのではないかと期待がかかっている。

東農大は今回、2種類のDNAを用意し、それらを一緒に投入した場合のみ人工細胞に電流が発生するしくみを作った。半導体微細加工(MEMS)技術という、マイクロサイズの電子機器を作りだす技術を生かしている。

DNAコンピューティングのためのマイクロデバイス
MEMS技術を生かして小さな電子機器を開発、DNAコンピューティングに使った

これで「AND演算」と呼ぶコンピューターの基礎となる機能を実現できた。

発展させていけば、分子ロボットの情報処理システムを開発できる。高度な機能を備えた分子ロボットは、人間の体内などで病気を診断、治療するといった活躍が可能になるかもしれない。

SF映画「ミクロの決死圏」のような世界が、現実に一歩近づいたと言える。