いくつかの報道をきっかけに混乱を引き起こした「Windows 10への自動アップグレード」の噂。使っているPCの中身が勝手に最新版に置き換わり、使いにくくなってしまうかもしれない、という不安が広がった。

2月はじめ、いくつかのニュースサイトが、Windowsを最新の状態に保つための機能「Windows Update」に変更があったと伝えた。結果として従来版である「Windows 7」「Windows 8.1」の入っているPCは設定次第で、最新版「Windows 10」へのアップグレード(移行)が「自動で始まる」と伝えた記事もあった。この話は、尾ひれがついてブログやTwitterなどで広がった。

Windowsの開発元であるマイクロソフト(MS)に問い合わせたところ、実態は少し異なるようだ。確かに2月から、一部の人のPCなどを対象に、何もしなくてもWindows Updateの「推奨される更新プログラム」欄に、Windows 10を表示するようになった。これは2015年10月に予告した通りだという。画面隅のタスクトレイに居座って執拗(しつよう)にアップグレードを勧めてきた「Windows 10を入手する(Get Windows 10、GWX)」というアプリケーションの従来の挙動と異なる手口だ。

ただし、くだんのWindows Updateの表示はまだ誰にでもあらわれる、という訳ではない。今のところ世界のどの地域のどれくらいの人の機器が対象になっているか非公開だそう。

MSが事前に説明した通り、表示が出たからといって、勝手にWindows 10への移行が進むのではない。ポップアップ表示などを選んで、受け入れる意思を明確に示した場合のみダウンロードやアップグレードが始まる。再三言われているようにアップグレード後31日以内は元に戻せる点もこれまでと変わらない。

つまり、Windows Updateの表示が変わっても、あくまで使う人が「手動」で意志決定をする、というかたちは一応保っている。

結局は「自動」という言葉の定義、広まり方、使い方が混乱のもとだろうか。とはいえMS自体が過去に公式ブログで「Windows Updateの設定によっては自動的にアップグレード プロセスが開始される」と誇らしげに説明しているとあっては無理もない。

もちろんWindows 7、8.1を使い続けたいと考える人は、従来以上に、まぎらわしい表示を見てうっかりアップグレードしないよう用心する必要があるのは確かだ。