ベネッセコーポレーションの顧客データベースから大量の個人情報が流出し話題となった。情報の拡散に影響したのが「名簿業者」によるデータの売買。企業だけでなく社会貢献団体も利用してきたサービスだ。

「名簿業者」使ったことありますか? -- 赤十字・ユニセフ・赤い羽根に聞く
日赤、ユニセフ、赤い羽根に問い合わせた(出典:各社のソーシャルメディアアカウント)

今回、寄付を募る手段の1つとしてダイレクトメールを利用している主要な社会貢献団体として、日本赤十字社(日赤)、日本ユニセフ協会(ユニセフ)中央共同募金会(赤い羽根)の3団体に質問を送付。名簿業者の利用経験の有無と、社会貢献活動のために名簿業者を利用することの是非、名簿売買をめぐる法規制強化の賛否を尋ねた。

3団体のうち、ユニセフは特に詳細に回答し、組織としての姿勢を明確にあらわした。一方、日赤と赤い羽根の回答は名簿業者とのかかわりを手短かに否定し、社会貢献団体と名簿業者の関係のあり方について意見を示すことはしなかった。

■名簿業者の利用経験

まず、ベネッセの情報流出にからんで名前の挙がっている会社をはじめとして、名簿業者の利用経験の有無を訊いた。回答は以下の通りだ。

日赤:弊社においては、名簿業者から個人の情報を入手することはない。

ユニセフ:ベネッセの情報流出にからんで名前の挙がっている企業1社を過去に利用したが、2009年7月以降取引はない。また当時同社から購入した情報は、電話帳情報をデータ化したもので、今回の情報流出とは無関係。

赤い羽根:ベネッセの情報流出にからんで名前の挙がっている企業などの名簿業者と過去に取引をしたことは一切ない。

■社会貢献団体による名簿業者利用の是非、法規制強化の賛否


続いて社会貢献活動のために名簿業者を利用することの是非、名簿売買をめぐる法規制強化の賛否を尋ねた。

日赤、赤い羽根はまったく回答しなかった。一方、ユニセフは詳細な意見を述べている。以下の通りだ。

利用の是非:情報を利用する側、提供する側とも、個人情報保護関連法にとどまらず、あらゆる面でコンプライアンス(法令順守)を実践することが前提。

法規制強化の賛否:個人、特に子どもの権利侵害の解決に必要であるならば、法的であるか否かに関わらず、しかるべき規制が敷かれるべき。

まとめると、ユニセフは現状でも社会貢献団体による名簿業者の利用を否定せず、法令順守が重要だとの立場だ。また規制強化には肯定的だった。

■社会貢献団体と名簿業者の今後は

ベネッセの顧客データベースからの情報流出は、名簿業者と社会のあり方を考えさせられるきっかけにもなった。

日本には今回の問い合わせに応じた3団体のほかにも数多くの社会貢献団体が存在し、一部は過去に名簿業者を利用してきたと見られる。今後はどのような方針をとっていくのか。企業にとどまらず、非営利組織の動向も注目される。