10月に本社を移転したヤフーは、これまで謎めいた雰囲気だった社員食堂(社食)を、外部の人が利用できる開放的な設備に一新した。「Suica」をはじめ交通系電子マネーで支払い可能で、気軽においしい食事が楽しめる。取材の機会があったため紹介する。
被災地とつながる社食
取材のきっかけは6月。熊本地震の復興支援として、ヤフーが独特な取り組みを発表した。被災地に入った社員が、地震の影響で取引中止になり、売れなくて困っている地元のお米を見つけたため、東京本社の社員食堂「BASE6」で使うという。
BASE6は以前も東日本大地震の復興支援として東北の米、魚、果物を使っており、フットワークの軽さは目を引いた。見学したいと申し入れたが、おりしも本社移転に伴うリニューアルを間近に控えていたため、落ち着いたところであらためてと、話はまとまった。
社員以外も入れる開放的な場所に
移転前のBASE6は本社から離れていて、正確な位置は非公開。もっぱら社員が予約で利用し、食事の料金は「業績連動型」という謎めいた雰囲気があった。
だが新生「BASE」のようすは、かなり異なる。
ヤフーの本社は東京・紀尾井町への移転に伴い、分散していたオフィスを集約したことで、数千人が働く巨大な職場になった。
これに合わせて社食も本社内に入って、規模を拡張し、予約なしでさまざまな人が使えるようになったのだ。
ランチをとりつつ同僚と交流するだけでなく、コーヒーを飲みながら打ち合わせもできるよう、BASEに加えカフェ「CAMP」も登場している。
新オフィスの11階にはおよそ800席の大食堂があるほか、17階には外部の人が使えるコワーキングスペースに付属し、もうひとつの食堂兼カフェがある。
業績連動型の料金もあらたまり、通常の支払いは一律、社内の目標を達成した場合に、Tポイントをもらってカフェなどで使えるようになった。
Suicaで支払いOK
また従来、支払いは給与天引きだったが、リニューアル後はSuica、PASMOなど交通系電子マネーが利用できるようになった。
社員でなくてもICカードや、おサイフケータイ対応のAndroidスマートフォン、いずれはiPhone 7でも簡単に決済が可能になる。
食堂内に入金(チャージ)が行える機器もあり、カフェなどの一部では現金も使える。
おしゃれだけど肩はこらない
最初にのぞいたのは17階の食堂。コワーキングスペースとともに11月から公開予定で、ヤフーの社員などが一緒でなくても、オフィス訪問のついでに立ち寄れる。
洋風のメニューを中心に、いろどり豊かなサラダなどをそろえた量り売りのビュッフェ、焼きたてのパンが並ぶベーカリーもある。
キッチンもついていて、イベントなどでは自ら料理をすることも可能だという。お酒の類は置いていないが、今後の催しによっては飲めるようにしたいとのことだった。
どれもしゃれた献立だが、レストランのようなあらたまったところはなく、肩のこらない雰囲気だ。
営業時間は平日が9時~21時、土日が10時~21時。窓からのながめはすばらしく、値段も手頃で、こっそり食事だけしにヤフーへ来るのはどうだろうかと、よからぬ考えも浮かんだほどだ。