このレポートは、インターネットコムNTTコム リサーチがインターネットを活用したアンケート調査を定期的に行い、その結果を発表するものである。今回は「電子書籍」について調査した第13回である。

調査対象は全国10代〜50代以上のインターネット ユーザー1,085人。男女比は男性53.7%、女性46.3%。年代比は10代2.8%、20代26.6%、30代21.6%、40代17.1%、50代19.0%、60代以上13.0%。

今回も最初に「電子書籍/雑誌を読んだことがありますか」と尋ねてみた。「はい」は41.8%(前回35.9%)、「いいえ」は58.2%(同64.1%)。そして、この「いいえ」と答えた電子書籍の未経験者632人に読みたいかどうか質問したところ、「はい」は26.7%(同29.9%)、「いいえ」は73.3%(同70.1%)となり、利用経験者と利用希望者の割合に大きな変化はない。

調査結果全体を見ても、状況は同じだ。これまでの調査で電子書籍を「読む理由」「読んでみたい理由」「読みたくない理由」など毎回調べてきたが、回答の傾向は変わっていない。そこで今回は、「読む理由」と「読みたくない理由」の結果を比べてみよう。

以下の表とグラフは、電子書籍を読んだことがある453人(全体の41.8%)に「なぜ電子書籍/雑誌を読むのでしょうか」と尋ねた結果と、利用未経験で電子書籍/雑誌を読みたくないと答えた463人(全体の42.7%)に「なぜ電子書籍/雑誌を読みたくないのでしょうか」と尋ねた結果である。

【なぜ電子書籍/雑誌を読むのでしょうか】
・無料で入手可能な電子書籍/雑誌がある:64.2%
・持ち歩きに便利:36.4%
・読みたい電子書籍/雑誌がある:33.3%
・電子書籍/雑誌の値段が安い:20.1%
・紙の書籍/雑誌にない便利な機能がある:14.1%
・紙の書籍/雑誌より読みやすい:8.2%
・その他:3.8%

「読む理由」「読みたくない理由」を並べると浮かび上がる普及戦略―定期調査「電子書籍」(13)
Q:なぜ電子書籍/雑誌を読むのでしょうか
(2014/11/4〜11/5 10代〜60代以上のインターネットユーザー1,085人中、利用経験者453人)

【なぜ電子書籍/雑誌を読みたくないのでしょうか】
・紙の書籍/雑誌の方が好き:43.4%
・画面では読みにくい:41.9%
・紙の書籍/雑誌で十分満足している:40.0%
・そもそも書籍/雑誌を読まない:21.4%
・電子書籍/雑誌を読むのに必要な専用リーダーの値段が高い:16.2%
・電子書籍/雑誌の値段が高い:12.5%
・興味のある電子書籍/雑誌がない:9.5%
・その他:1.1%

Q:なぜ電子書籍/雑誌を読みたくないのでしょうか
Q:なぜ電子書籍/雑誌を読みたくないのでしょうか
(2014/11/4〜11/5 10代〜60代以上のインターネットユーザー1,085人中、利用未経験で利用を希望していない463人)

「読みたくない理由」の「紙の書籍/雑誌の方が好き」「紙の書籍/雑誌で十分満足している」「そもそも書籍/雑誌を読まない」といった電子書籍に対する魅力を“そもそも”感じていない回答を除いたうえで、両質問の関連性のある回答選択肢を並べてみた。

読む人の多くが「無料で入手可能な電子書籍/雑誌がある」(64.2%)、「電子書籍/雑誌の値段が安い」(20.1%)とコスト面のメリットを挙げているのに対し、読みたくない人は「電子書籍/雑誌の値段が高い」(12.5%)と考える人が比較的多い。利用者を増やすには、“意外と安い”と思ってもらえるようマーケティングすると効果がありそうだ。

また、読む人の33.3%が「読みたい電子書籍/雑誌がある」と答え、読みたくない人の9.5%が「興味のある電子書籍/雑誌がない」としていた。電子書籍/雑誌の品揃え自体は十分で興味のあるコンテンツが用意されているにもかかわらず、利用に向けての動機付けにはなっていない。

なお、電子書籍の読みやすさに対しては、読む人のうち8.2%が「紙の書籍/雑誌より読みやすい」、読みたくない人の41.9%が「画面では読みにくい」と答えた。この結果については、実際に利用/想定する購読方法(Web ブラウザ/専用アプリケーション/リーダー端末、液晶画面/電子ペーパー画面など)によって大きく変わるはずなので、分析する際はその点に注意した方がよいだろう。

(調査協力:NTTコム リサーチ

◆参考記事:
利用者が増えるどころか希望者が減る状況―定期調査「電子書籍」(12)
電子書籍の評価ポイント、経験者は「コンテンツ入手性」、未経験者は「機能性」―定期調査「電子書籍」(11)

調査協力:NTTコム リサーチ