キュレーションサービス市場推移と予測(出典:矢野経済研究所) |
調査対象は、「NAVER まとめ」「Gunosy」「SmartNews」「NewsPicks」「Antenna」などユーザーを集めて広告、課金収入で運営するサービスや、「Origami」や「HATCH」などインターネット通販の手数料、物品販売収入で運営するサービス。さらにこれらのサービスの基盤構築やコンサルティングを手掛ける企業だ。直接面談、電話、メールによる取材と文献の参照により市場規模を把握したという。
矢野経済研によると、2012年度のキュレーション市場は60億1,100万円。今後もスマートフォンやタブレットの普及とともに規模は拡大し、2017年度までは年平均にして45.7%の成長率で推移していくという。2017年度には395億3,000万円規模に達する。
キュレーションサービスが台頭した背景として、インターネット上に出回る情報量が増える一方、個人に読み取れる情報量に限界が来ていることを、矢野経済研は挙げる。キュレーションサービスでは、個々人が必要とする情報を、必要最低限に絞り込み、移動時間などの隙間時間に読み取れるため、PC よりもスマートフォンやタブレットになじみやすいという。
また、企業がキュレーションサービスを運営する利点として「少ない投資で大きなアクセス数を稼げる可能性を持っている」点を指摘した。こうしたサービスを利用し、ある程度の規模のユーザーに取り扱う情報や商品への興味、関心を持たせられれば、その後は当該サービスで PV 数やコンバージョン(成約)を安定的に取りやすくなる、と矢野経済研は分析している。
■今後は「モノを売る」キュレーションサービスが伸びると予測
矢野経済研は特に、Origami、HATCH のようにネット通販で物品販売、出店料、手数料などの収入を得るキュレーションサービスが伸びると見込む。2012年度〜2017年度の年間成長率は70.7%になるという。
さらに現状は広告、課金収入で運営しているキュレーションサービスの多くもアクセス数を確保した後に、収益確保のためにネット通販への参入やコンサルティングなど新事業を展開していく見込みだとか。
また百貨店やセレクトショップなどの実店舗を持つ企業が、O2O(Online to Offline)マーケティングの一環として、キュレーションサービスを生かす動きにも、矢野経済研は注目している。
このほか、別な流れとして、大手通信キャリアやコンピュータメーカーがキュレーションに関する研究を進めており、今後、こうした企業がキュレーションサービスの基盤を他社に提供するようになると、ビッグデータ分析などとも結びつくとしている。