ダイナブックのイメージ
「dynabook(ダイナブック)」は長く東芝の「顔」のひとつだった

東芝は「dynabook(ダイナブック)」などのPC事業を売却するため、台湾ASUSTeK Computer(エイスース)と協議を始めた。こんな報道がかけめぐったが、東芝は否定している。

東芝の発表によると、まだPC事業の売却については方針を固めていないし、エイスースだけでなくほかのどんな個別企業とも協議していないという。さらに広報に問い合わせたところ、複数社を招いての協議もしていないとのことだった。


東芝は1985年に世界で初めて市販のノートPCを作り、欧州市場に投入した。当時は「ラップトップPC」という呼び方が主流だった。以来数多くの製品を日本を含む世界に送り出し、特にdynabookブランドはよく知られた。

PCの父とされる計算機科学者Alan Kay(アラン・ケイ)氏が夢に描いた理想の製品の名前を恐れもなげに取り入れたブランドには、当時の東芝の意気と矜持が感じ取れる。

しかし東芝は最近、PC事業と同じく歴史と伝統あるテレビ事業を中国の家電大手Hisense(ハイセンス)に売却すると発表したばかり。また、かつて東芝と並んで強い存在感のあった富士通がPC事業を中国Lenovo Group(レノボ)などと合弁にすると明らかにしたいきさつもあり、今回の報道も一定の説得力をもって受け止められた。ただ東芝が否定したことで、今日明日にdynabookなどが外資の手にゆだねられる可能性は薄れた。