SF映画「第9地区」「エリジウム」「チャッピー」などで知られるニール・ブロムカンプ監督が新作をインターネット上で公開する。すわ映画・ドラマ見放題の「Netflix」などを使うかと思えばさにあらず、さまざまなゲームを遊べる「Steam」だという。
ニール・ブロムカンプ監督といえば、異星人や未来の科学を主題に、驚くべき映像や恐るべき物語に、はでな活劇、変てこな笑いをからめながら、底に流れる切なさや悲しさを感じさせる作風が評判だ。
新作の題名は明らかになっていないが、Oats Studiosというあまり聞かない名前のスタジオで制作。実験の意味が大きい短編で、「間もなく」公開になるという。
すでにYouTubeにはいくつかの宣伝映像が上がっている。現実とはかけはなれた、けばけばしい武装と塗装を施した米国の大統領専用機「エアフォースワン」、金ぴかに飾り立てた大統領専用車の行列、さらには謎の兵器やモンスター。
Twitterでの監督の発言を読むと、米国にとって悪夢となったベトナム戦争の時代から、現実とは異なる流れをたどった歴史を描くという。小出しの情報だけでも色々と想像を掻き立てられる。
完成後にYouTubeでも無料で掲載するほか、有料のSteam版にはさまざまな資料を用意するそう。より大予算の作品に仕上げるためのパイロットフィルムの意味合いもあるもよう。とにかく面白い試みだ。またもし今回のSteamでの配信が軌道に乗るようなら、ほかの監督がOats Studiosを通じて別の映画を同様の方法で制作する可能性も否定していない。
Netflixなどに比べると、Steamの知名度はそこまで高くない。とはいえゲーム好きのあいだでは人気が高く、SF映画のファン層とも重なる部分が多い。すでにゲームだけでなくSF映画をいくつも配信している実績もあり、あるいは意外な成功を収めるかもしれない。