無料メッセージアプリケーションの「LINE」は、無数の新事業をまとめて発表した。決済サービス、弁当宅配、タクシー配車と、「タコ足」のように多分野に手を伸ばしており、どことなく日本のヤフーを思わせる。

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LINE の新事業発表(出典:LINE 公式 Ustream チャンネル

以下に新たに発表されたサービスの一覧などをまとめる。

・決済サービス「LINE Pay」
・タクシー配車サービス「LINE TAXI」
・フードデリバリーサービス「LINE WOW」
・音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」
・屋内マップサービス「LINE Maps for Indoor」
・その他、ビジネスアカウント「LINE @」の一般開放など

■決済サービス「LINE Pay」

LINE Pay は、ショッピングサイトや実店舗などで、スマートフォンから専用アプリケーションを使って支払いができるサービス。米国の「PayPal」を思わせる内容だ。米国では Apple の「Apple Pay」の登場により激しい競争が起きると予想される市場だが、LINE では海外展開も視野に後発で参入する。2014年冬ごろから日本および世界でサービスが始まる見通し。

LINE Pay
LINE Pay

クレジットカードを登録するか、コンビニエンスストアまたは銀行を通じて事前に LINE Pay の口座にチャージ(入金)することで利用可能。LINE でつながっているユーザー同士で買い物の代金や飲食費を「割り勘」したり、互いの LINE Pay 口座あてに送金したりもできる。

ただ、LINE ではアカウントの「のっとり」が猛威を振るっているだけに、発表を聞いたユーザーの一部はさっそくソーシャルメディア上でセキュリティ面の不安を漏らしている。

LINE もそれは認識しているようで、セキュリティ機能として別途2次認証パスワードや iPhone の指紋センサ「Touch ID」による認証を用意する。また PC 上で LINE Pay を使う際は、スマートフォンでの認証が必要な仕組みも採用する。これによりある程度の安全性を担保できる可能性がある一方、IT に詳しくない大多数の LINE ユーザーが面倒、煩雑として敬遠する恐れもある。どの程度まで使いやすくできるかが普及のカギになるだろう。

■タクシー配車サービス「LINE TAXI」

LINE TAXIは、スマートフォンを使って現在位置にタクシーを呼べるサービス。米国の「Uber」を思わせる内容だ。すでに同種の事業を手掛ける日本交通と協力する。まず2014年冬ごろ東京で開始し、順次日本国内で拡大予定。 

LINE TAXI
LINE TAXI

LINE 上の LINE TAXI 専用公式アカウントを通じて依頼ができ、GPS、建物情報を入力すると、タクシーを呼べる。支払いは LINE Pay で済ませることが可能。

東京でのサービス開始時は日本交通が保有する約3,300台の車両が対象。その後、日本交通の配車サービス「全国タクシー配車」に協力するタクシー会社123グループが保有する合計約2万2,000台に広がる。将来は世界のタクシー会社と連携し、海外展開も狙う。

日本交通は以前から Uber に競争心を燃やしており、今回対抗策として LINE との連携を選んだのは興味深い。

ただし、LINE TAXI が支払い方法として前述の LINE Pay に重心を置くとなると、LINE Pay の使い勝手のよしあしに LINE TAXI のそれも大きく影響されると見られる。

■フードデリバリーサービス「LINE WOW」

LINE WOWは、スマートフォンから食事などの配達を注文できるサービス。2014年秋に始まる。フードデリバリーやケータリングの分野ではすでに世界各国にあまたのサービスがひしめき、国内では「出前館」「ごちクル」のようなところから、最近登場した「bento.jp」などがある。

LINE WOW
LINE WOW

LINEでは、韓国最大のフードデリバリーアプリ「Baedal Minjok」を展開するWoowa Brothers Corp.との共同出資で新会社 LINE Bros. を設立。当初は「おざき(和食・麻布十番)」や「ア・ニュ(フレンチ・広尾)」など世界的に高い評価を得ている名店の昼食を配達する。配達地域はまず東京都渋谷区内に限定し、今後、対象のメニュー、店舗、エリア、配達時間などを順次拡大していく。また構築した配達網を使って食品以外の品物も届けたいとしている。

すでに血の海(レッドオーシャン)の趣がある市場だが、LINE がどのように差異化を図っていくつもりなのかが注目だ。

■音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」

LINE MUSIC は以前から投入を表明していたサービスだが、LINE の発表を信じるなら、ようやく日の目を見るようだ。2014年内に日本で始まる見通し。サブスクリプション(定額課金)型音楽ストリーミングサービスとのことで、日本進出を足踏み中のスウェーデン「Spotify」を思わせる。

LINE MUSIC
LINE MUSIC

エイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメントと共同出資による新会社 LINE MUSICが手掛ける計画。今回の発表ではあまり詳細が明らかになっていない。

■屋内マップサービス「LINE Maps for Indoor」

LINE Maps for Indoor は、百貨店やショッピングセンターなどの商業施設内のナビゲーションに特化した地図サービス。2014年秋ごろに開始する。「Google インドアマップ」に正面から挑むことになる。

LINE Maps for Indoor
LINE Maps for Indoor

専用アプリで施設内で行きたい店舗を指定すると、現在位置から目的地までの最適なルートを地図で案内する。営業時間や電話番号などの店舗情報も掲載し、施設内の店舗を調べたり、探したりする際も役立つ。

まずは Android 版アプリのみを用意し、渋谷ヒカリエや東京ミッドタウンなど東京近郊の約40施設に対応する。対応言語は日本語、英語、簡体字/繁体字中国語、韓国語。海外から日本に来る観光客も使える。

■その他、ビジネスアカウント「LINE @ 」の一般開放など

LINE はその他にも盛りだくさんの発表を行った。

目を引くのは企業などが公式アカウントを作成できる「LINE@」の一般開放だ。従来は飲食、アパレル、美容、宿泊施設など実店舗を持つ法人が中心だったが、2014年内には実店舗を持たない法人や個人も利用が可能になる。なお、利用料金が無料のプランも選べる。「Twitter」や「Facebook」で活発な企業の情報発信を LINE にも取り込めるかどうかが注目だ。

LINE @
LINE @

これに加え、LINE の機能を外部サービスが利用するための API(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)を使っている企業を支援する「LINE ビジネスコネクト パートナープログラム」も始める。

著名人が参加できるブログサービス「LINE 公式ブログ」、著名人が LINE でファンにより充実した情報を発信するための「LINE 有料公式アカウント」なども発表している。

またグリー、サイバーエージェントとの共同出資によるゲーム関連の新会社設立、ファンドを通じたゲーム会社への出資、ゲームタイトルの拡充など、ゲームを収益源として重視する施策も打ち出している。