PSPに似た「2048」

「2048」は、コーディング学習目的でデザインされた携帯ゲーム機。PSPに似たルックスが所有欲をそそる一台だ。

PSPみたいな携帯ゲーム機「2048」
コーディング学習目的でデザインされた携帯ゲーム機「2048」

「2048」が開発された目的は、ゲームのハードウェア/ソフトウェアの基礎を学べる環境の提供。この目的達成のために、「2048」には完成品バージョンの他、購入者がゲーム機を組み立てる「DIY」バージョンが用意された。

PSPみたいな携帯ゲーム機「2048」のDIYバージョン
「2048」の「DIY」バージョン
ボードやケーブル、LEDパネルなどで構成される

組み立て後にも、必要に応じて様々なセンサー類をプラグアンドプレイで追加可能。ゲームコントローラーがゲームソフトウェアと協働する仕組みを楽しみながら学習できる仕組みになっている。

ソフトウェア学習では、統合開発環境「Arduino IDE」を採用。このプラットフォームでは、ソフトウェア開発に不慣れな人であっても比較的容易にコーディング可能だ。プログラミングのためのチュートリアルも用意される予定。

ソフトウェア開発では、統合開発環境「Arduino IDE」を採用
統合開発環境「Arduino IDE」は、WindowsとMacの両方に対応

さらに、「Qode Share」と呼ばれるクラウドサービスが開設予定となっている。このサービスを使用すれば、「2048」購入者が自分で組んだゲームを公開できるようになる。追加したセンサーの互換情報なども交換可能。また、ゲームを販売する仕組みも構築される予定だ。

ゲームを交換できるクラウドサービス「Qode Share」開設予定
専用のアプリストアと考えて良い?

開発元の英国Creoqodeは現在、「2048」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中。本稿執筆時点では99英ポンドの出資で自分で組み立てる「2048 DIY」を、149英ポンドの出資で完成品の「2048 RTG」を1台入手可能だ。出荷は2016年12月に予定されている。

自分で組み立てる「2048 DIY」(画像左)と完成品の「2048 RTG」(画像右)
「2048 DIY」(画像左)と「2048 RTG」(画像右)

さて、「2048」が所有欲をそそる理由は、ルックスがPSPに似ている他に、実はもうひとつある。それは、スペックがかなり“レトロ”なため、「これなら一人でゲームのすべてを手掛けられる!」と思わせてくれる点だ。

一人でゲームのすべてを作れる「2048」
公表されているゲーム画面を見ても、“レトロ”感が伝わる

例えば画面解像度はわずか64x32(=2,048)。製品名の由来ともなっている合計2,048個のLEDが、ゲームの動きを表現している。PS4のようなフルHD対応のゲームを個人で作るのは厳しいが、64x32であれば十分可能だ。サウンドシステムも、個人でコントロールできる範囲に留まっている。

画面として機能するLED
モニターは液晶ではなく、LED

「2048」のサウンドシステムはプリミティブなもの
サウンドシステムも個人でコントロール可能な範囲

その他の仕様も、個人でのゲーム開発を可能にする範囲に収めてある。これが、「2048」を欲しいと思ってしまう最大の理由だろう。自分だけで、自分のペースで、自分の望むゲームを作る。そこには納期による妥協やデスマーチはない。

2048で開発したゲーム例
いつのまにか、ゲーム開発が楽しめなくなってしまった人に!

1980年代初め、コンピューターゲームは、アイディアさえあれば個人で開発可能なものだった。RPGのような壮大な音楽は不要だったし、シナリオを書く必要があるほどの大規模な物語を保存するストレージはゲームマシン内には無かった。

「2048」のゲーム例
むしろ、ほんのわずかなリソースでどこまでできるか?の戦いだった

自分の思いついたゲームを、例えばシャープのMZ-80などで開発し、コンピュータ雑誌のI/Oなどに投稿する。すると、MZ-80愛好者が雑誌に掲載された0と1の羅列を手で入力し、日本のどこかで楽しんでくれる。正しく入力できたかどうかの判断はチェックサムが頼り。入力したプログラムは電源を切ると消えるので、カセットテープ(!)で保存する。…ゲームを楽しむというよりも、ゲームを作ることや、そのゲームで遊んでくれる人がいることを楽しむ。それが、1980年代のゲームマニアの楽しみ方だった。

シャープによるMZ-80K
参考画像:シャープMZ-80K
20年ほど前、「カセットテープにプログラムを保存する」と言って新入社員に驚かれた
10年前には「カセットって、何ですか?」と聞かれた
今ならどういう反応をされるだろう?

そんな時代を思い出させてくれるのが「2048」の魅力だ。「2048」を買って、もう一度あのワクワクを楽しんでみるのも乙かもしれない。自分の作ったゲームの発表の場も、ちゃんと用意されている。その場は、雑誌ではなくクラウドシステムになってしまうがが、ここはむしろ歓迎すべき進化と捉えるべきだろう。

「2048」の解像度を示す画面
SHARP BASIC、覚えているかなぁ?