産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門セラミック機構部材プロセス研究グループの研究員らと
ヤマトは、アルミニウム溶湯加熱用の高出力浸漬ヒーターを開発した。従来比5倍のヒーター出力を実現し、金属鋳造産業におけるヒーター設備の削減や省エネルギー化への貢献が期待されるという。
金属鋳造産業では、金属溶解炉内で溶解させた金属を、金属溶湯保持炉内で加熱または保温する。その手法として、電気ヒーターを金属溶湯保持炉内で金属溶湯中に浸漬し、直接加熱して保温する浸漬ヒーターが、近年急速に普及している。
しかし、従来の浸漬ヒーターは、発熱体からヒーターチューブを通じて金属溶湯に熱を伝える際の熱伝達が不十分で、ヒーターの出力向上も少なく、十分な熱量を溶湯に与えるには、浸漬ヒーターの本数を増やすか、ヒーターの加熱面積を拡大する必要があった。また、高い発熱体温度でヒーターを使用すると、発熱体の寿命が著しく低下し、ヒーターの交換サイクルが短くなるなどの問題もあり、浸漬ヒーター設備のコスト削減が課題だった。
今回の研究では、ヒーターチューブ内に熱伝導率の高いセラミックフィラーを従来より高密度に充填することで、発熱体からアルミニウム溶湯までの熱伝達を向上させた。これにより、従来の5倍の熱伝達率を達成できたという。更に、長期間使用できる発熱体温度で従来のヒーターを上回る出力を得られるため、高寿命化も期待できるそうだ。
同研究所は今後、浸漬ヒーターのさらなる高出力化による金属溶解炉への適用および、コンパクトかつ省エネルギーな炉の開発を予定しているという。