山口県下関市が、下関市文化振興財団、NTT ファシリティーズ、オートデスク、トプコンと2014年5月から進めてきた建物の 3D モデル化プロジェクトが完了したことから、一般公開を開始した。

公開するのは、「下関市立近代先人顕彰館」(旧逓信省下関電信局電話課庁舎、1924年)、愛称「田中絹代ぶんか館」の 3D モデルなど。プロジェクトは、建物竣工90周年、田中絹代ぶんか館オープン5周年記念事業で開始された。

3D モデルデータは、「田中絹代ぶんか館」1階ロビー」とインターネット(現在調整中)で公開される。

「田中絹代ぶんか館」は、大正時代特有の設計、装飾が数多く現存する貴重な建築財産。近代建築資料として後世に残すため、「ビルディング インフォメーション モデリング」(BIM)手法で、建物全体を 3D モデル化した。建造文化財が 3D モデル化され、3D データが運用・維持管理にまで利用されるのは、全国でも初めてのケースだそうだ。

また、3D モデルの利用により、2D の図面データと比較すると、建物内外の詳細が分かるため、効率的に建物を修繕、保全できそうだ。

3D モデルでは、歴史的価値の高い建物がやむを得ず解体される場合でも、その時代独特の装飾や設計意図をコンピュータで詳細に残すことができる。また、模型のように保存場所を必要としないので、博物館で 3D モデルとしてデジタル展示できることから、今後の活用が期待されている。

下関市が大正時代の建築物「田中絹代ぶんか館」を 3D モデル化
「田中絹代ぶんか館」

田中絹代ぶんか館、内部
田中絹代ぶんか館、内部