IDC Japan は、企業におけるスマートモバイルデバイス(スマートフォン、タブレット)管理の実態調査結果を発表した。同調査は2014年10月に実施。国内企業および組織の IT 部門を対象にアンケートを行い、スマートモバイルデバイスを業務で利用している250社から有効回答を得ている。

調査によると、業務で利用されているスマートフォンの OS は、iOS が71.6%、Android が57.3%、Windows が10.0%。タブレットの OS は、iOS が73.6%、Android が34.5%、Windows が24.9%だった。タブレットにおける Windows の利用率は前回調査(2013年)の17.3%から大きく上昇しており、Windows タブレットが浸透し始めたことがわかる。一方で Android は、前回の42.2%から大きく下落した。

スマートモバイルデバイスを用いた業務は、電子メール、スケジュール管理、情報/コンテンツの共有が中心となっており、販売管理や在庫管理、顧客管理といった基幹業務での利用はまだ少ない状況だ。

スマートモバイルデバイスの管理方法については、「モバイル管理ソフトウェアやクラウドサービスを使っている」企業が60.4%、「表計算ソフトウェアなどでインベントリ情報などの簡易的な管理をしている」企業が21.6%、「その他」の企業が1.2%、「全く管理していない」企業が16.8%だった。

中堅中小企業では、モバイル管理に対する意識はあまり高くないようだ。従業員1,000人以上の企業では、モバイル管理ソフトウェアやクラウドサービスの利用率が約80%だったのに対し、従業員100〜999人未満の企業では、簡易的な管理をしている、または全く管理をしていない企業が約50%、99人以下の企業では約60%を占めた。

スマートモバイルデバイスの運用における懸念点については、「盗難や紛失による情報漏洩」が最も多く40.0%、次いで「ウイルスや不正アプリケーションによる情報漏洩」が32.4%だった。そのほかに、「運用管理の作業負担が大きくなる」や「既存の業務システムとの連携が難しい」など、IT 管理の課題も挙げられている。また「私的利用を許可する基準や範囲が定めにくい」「業務用と私的利用のアプリケーションやデータを区別した管理が難しい」など、プライベート利用との区別の難しさも顕在化した。IDC は、BYOD(Bring Your Own Device)の実現にはこのような課題を解決する必要があると指摘している。

16.8%の企業は「全く管理していない」--IDC、スマートモバイルデバイス管理の実態調査
スマートモバイルデバイスの運用で懸念している点

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、「企業がスマートモバイルデバイスの活用度を高めていくためには、管理レベルを向上させ、セキュアな利用環境を構築していく必要がある。特に中堅中小企業はモバイル管理に対する意識を高めていかないと、情報漏洩によって企業の存続に関わる事故につながってしまう恐れがある。さらにこれからはモバイルアプリケーションを業務で利用する機会が増えていくとみられ、デバイスのみならずアプリケーションとデータ/コンテンツの管理までを可能とするシステムを、ハード面とソフト面(運用ポリシーなど)の両面で構築していくことが重要になる」と述べている。

同調査の詳細は、IDC のレポート「2014年 国内システム運用管理市場 ユーザー実態調査:サーバーからモバイルまで運用管理の将来像を捉える」(J14390102)に報告されている。