さまざまな製品の分解/修理マニュアルを公開している米国 iFixit が、Apple から発売されたばかりの腕時計型ウェアラブル デバイス(スマートウォッチ)「Apple Watch」の分解手順などを公開した。iFixit は分解/修理のしやすさを「Repairability Score」という10段階スコアで評価しており(1が最も難しく、10が最も簡単)、Apple Watch のスコアを5とした。

「Apple Watch」を早速分解、分解は困難でないが修理は無理
発売されたばかりの Apple Watch を分解

Apple Watch は、スマートフォン iPhone と無線 LAN(Wi-Fi)や Bluetooth 経由で連携し、時刻やメッセージの表示、通話、メッセージ交換、装着者の動作検知、脈拍計測といった機能を提供する。今回 iFixit が分解したのは、廉価版モデルの「Apple Watch Sport」(38mm 版)。機能は標準モデルの「Apple Watch」、高級モデルの「Apple Watch Edition」と全く変わらず、ボディやバンドの材質、デザインが異なる。

3モデル展開でバリエーションは多種多様 (出典:Apple)
3モデル展開でバリエーションは多種多様
(出典:Apple)

分解したのは Apple Watch Sport(38mm 版)
分解したのは Apple Watch Sport(38mm 版)

分解は、まずボディからディスプレイを取り外して始めた。バンドを外してもボディを開くネジなどは見当たらないので、ボディとディスプレイの境目を慎重にこじ開けるようにして行ったが、ケーブルを切らずに分解するのが難しかった。

まずボディからディスプレイを取り外す
まずボディからディスプレイを取り外す

バッテリは簡単に接着されていただけなので、割と容易に取り外せた。3.8V、 0.78Wh のリチウム イオン バッテリで、205mAh の容量があり、Apple は最大18時間のバッテリ駆動が可能としているそうだ。

あとは、昔ながらの腕時計と同じく側面に設けられた竜頭(りゅうず)「Digital Crown」、手首を軽く“叩いて”、アラートや通知、操作に対するフィードバックなどをユーザーに伝える「Taptic Engine」、Apple Watch の心臓部である LSI「Apple S1 SiP」、8GB のストレージ用メモリー、スピーカーなどの部品で構成されている。

両者に125年の隔たり 左:Apple Watch 右:1890年製とみられる懐中時計
両者に125年の隔たり
左:Apple Watch
右:1890年製とみられる懐中時計

iFixit は分解/修理のしやすさを10段階中5としたが、その根拠は以下のとおり。

・バンドの取り付け方法は一般的な腕時計と異なるが、容易に外せて、簡単に交換できる

・分解作業で最初に外す部品となるディスプレイは、取り外しが難しいものの不可能ではない

・ディスプレイを外して内部にアクセスできるようになれば、バッテリは軽く接着されているだけなので簡単に取り外せる

・内部ではよく見かけるタイプの3枚羽根“トリウイングねじ”だが、そのサイズが極めて小さく、分解作業のハードルを高めている

・今回 iFixit が実施した以上の分解は、各種ケーブルが S1 チップに半田付けされているので実質的に不可能

・S1 チップは完全に封止されているので、修理は行えない