欧州特許庁(EPO:European Patent Office)が主催する欧州発明家賞の非ヨーロッパ諸国部門に、カーボンナノチューブの開発者として、飯島澄男氏と開発メンバーの湯田坂雅子氏、小塩明氏がノミネートされた。

欧州発明家賞、カーボンナノチューブ開発者の飯島澄男氏がノミネート
カーボンナノチューブ開発のチームメンバー

2006年の同賞創設後、昨年の QR コード開発者の原昌宏氏に引き続き、2年連続で日本からのノミネートとなった。


非ヨーロッパ諸国部門を含めて、5部門から3名(チーム)ずつ、合計15名(チーム)がノミネートされているが、各部門の受賞者には、6月11日にパリで開催される欧州発明家賞授賞式で賞が授与される予定。

飯島氏はカーボンナノチューブの発見者で、製造方法の発明者。カーボンナノチューブの炭素構造は重さがアルミニウムの半分で、鋼鉄より強く、電流密度耐性と熱伝導性に極めて優れている。産業への応用は、初期段階ながら、その可能性はほぼ無限大と言われる。

コンピューターはより速く、ソーラーパネルはより効率的に、自動車や航空機の安全性はより高くなるのが、カーボンナノチューブだ。曲げられるディスプレイや体内埋め込み血糖値センサー、宇宙エレベーターなどが、カーボンナノチューブ発見で実現可能に近づいた。

飯島澄男氏は物理学者で、カーボンナノチューブを1991年、NEC でナノ粒子スペシャリストとしてフラーレン研究に携わっている時に発見した。フラーレンは炭素原子が蜂の巣状に並び、サッカーボールのような球形を作っている。その研究の際、飯島氏は、全く新しい形状の炭素素材を発見した。それがカーボンナノチューブだ。

この発見時点まで、純炭素の原子配列で知られていた形状は、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレンの3つのみだった。カーボンナノチューブは、金網を筒状に丸めたような形をしている。極小のこのチューブの直径は、1未満〜数ナノミリメートルと超微細だが、長さは数ミリメートルにもなる。

飯島氏は、単層、および同心円構造の多層カーボンナノチューブを発見した。それぞれに異なる物理的特性があり、例えば電気伝導性はその構造により、金属型にも半導体型にもなる。

この功績により、飯島氏は2002年のベンジャミン・フランクリンメダル物理学賞、2007年のバルザン賞、グレゴリ・アミノフ賞、2008年のカブリ賞など、多くの賞を受賞した。