産業技術総合研究所(産総研)、東京農業大学(東京農大)、総合研究大学院大学(総研大)は共同で、トンボの色覚に関わる光センサーを作り出すオプシン遺伝子が著しく多様であることを発見した。オプシンとは、動物の光受容細胞に存在する光受容タンパク質。

トンボは環境ごとに光センサーを使い分ける―産総研が発見
トンボは環境ごとに光センサーを使い分ける
―産総研が発見

多くの動物では3〜5種類のオプシン遺伝子が色覚に関わるが、トンボは例外的に15〜33種類という極めて多いオプシン遺伝子を持つこと、また、多くのオプシン遺伝子を幼虫(ヤゴ)と成虫の間で、さらには成虫では複眼の背側と腹側の間で使い分けていることが分かった。


アカトンボの1種であるアキアカネを用いて、トンボの複眼がどの波長の光によく反応するかを解析した。その結果、複眼の背側と腹側で色覚が異なっている可能性があることがわかった。

トンボに何種類のオプシン遺伝子が存在するのか不明であったため、アキアカネの成虫や幼虫の頭部の遺伝子を網羅的に解析した。その結果、20種類ものオプシン遺伝子が同定された。さらに、さまざまなトンボ類でオプシン遺伝子数を調べたところ、いずれのトンボでもオプシン遺伝子が15〜33種類と非常に多いことを確認した。

次に、成虫の複眼背側、複眼腹側、単眼周辺、幼虫頭部に分けて、オプシン遺伝子の種類を解析した。その結果、大部分のオプシン遺伝子は、特定の時期や領域だけで働いていることがわかった。個々のオプシン遺伝子は、幼虫と成虫のどちらか一方だけで使われていた。さらに、成虫で使われている大部分の遺伝子は、複眼背側、複眼腹側、単眼周辺のどこか1か所の領域だけで働いていることが確認された。つまり、トンボでは、幼虫と成虫の間のみならず、成虫複眼の背側と腹側の間でも、そこで機能するオプシン遺伝子の種類が全く異なっていた。

なお、この研究成果は、2015年2月24日(日本時間)に米国の学術誌「Proceedings of the National Academy of Science USA」(米国科学アカデミー紀要)にオンライン掲載された。