テレパシージャパンは、自由度の高い眼鏡型ウェアラブル デバイス「Telepathy Jumper」の製品仕様や事業計画を発表した。眼鏡のようなアタッチメントで常に目の前に装着する使い方だけでなく、首にかけておいて必要なときだけディスプレイを見る、といった使い分けが可能。開発者向けデバイス提供に関する登録をすでに受け付けている。2015年1月6日から9日にかけて米国で開催される家電見本市「CES」に出展し、デモンストレーションなどを行う。製品版は、まず2015年3月に企業向け販売を開始し、2015年夏に日本と北米で一般向け販売を始める予定。販売価格については、製造を担当する日立製作所と詰めているとした。

首掛け式の眼鏡型ウェアラブル デバイス「Telepathy Jumper」、目的は「体験を分ち合う」こと
首掛け式の眼鏡型という斬新なウェアラブル デバイス
Telepathy Jumper

眼鏡型ウェアラブル デバイスというと「Google Glass」のように眼鏡単体で完結する形状を思い浮かべてしまうが、Telepathy Jumper の特徴は、目の前に置いて映像を見たりカメラで撮影したりするための「ディスプレイユニット」と、Bluetooth リモコン機能を備えてさまざま操作が行える「パワーユニット」と、両者を繋いで首にかけておけるようにする「フレキシブルフィッティング」という3つの部分で構成される独特のデザイン。2年間かけた開発過程で、眼鏡型ウェアラブル デバイスが「便利だからといって常に目の前にディスプレイを置く必要はない」(テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏)ことに気づき、自由に着脱できる首掛け式を採用した。これにより、必要な時にさっと使って、使わないときは目の前から取り払う、という使い方が可能になった。そして、常時ディスプレイを見ていたい場合は、アタッチメントを取り付ければ目の前に置いておける。


ディスプレイユニット、パワーユニット、フレキシブルフィッティングで構成される テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏
ディスプレイユニット、パワーユニット、フレキシブルフィッティングで構成される
テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏

ディスプレイユニットの重さは 30g。qHD(960×540ピクセル)表示の画面は明るく鮮明で、屋外の強い日差しのなかでも画面が見やすい。ディスプレイ周辺の部品に穴を開けて見通せるようにしたことで、空間に画像が浮いて見えるという。カメラの画素数は500万画素。パワーユニットには容量 1,000mAh のバッテリを内蔵しており、長時間使用が可能としている。表面にはカーソルボタンなどが設けられており、簡単な操作はボタンだけ行える。発表会の会場で装着していたモデルさんに伺ったところ、動いても外れるような不安感はないそうだ。

左:穴が開いていて正面を見通せる 右:常時ディスプレイを見るためのアタッチメント
左:穴が開いていて正面を見通せる
右:常時ディスプレイを見るためのアタッチメント

Bluetooth リモコンとして使えるパワーユニット
Bluetooth リモコンとして使えるパワーユニット

OS は Android 4.2(開発コード名「Jelly Bean」)をベースに拡張したものを採用。一般の Android と同様の環境でアプリケーションが開発できる。Android の開発元である Google は Android OS ベースのウェアラブル機器向けプラットフォーム「Android Wear」を提供しているが、Telepathy Jumper は Android Wear に対応していない。「(Android Wear に)興味はある」(鈴木氏)が、どう対応するかは未定とのこと。

そのほかの主な使用は以下の通り。

・メモリー:8GB
・センサー:加速度、ジャイロ、地磁気、近接
・無線 LAN(Wi-Fi):IEEE802.11b/g/n
・I/O ポート:micro USB、ヘッドフォン

都内で行われた発表会の会場には、日立ソリューションズとジェネックスソリューションズがパートナとして来場していた。日立ソリューションズは、サービス面で協力するほか、同社が手がける各種ソリューションの現場で新しいツールとして活用できるかどうか実証実験し、Telepathy Jumper の可能性を調べる考え。一方、ジェネックスソリューションズは映像を使う同社の接客業など向け教育システム「ClipLine」と Telepathy Jumper を連携させる構想を持っている。

テレパシージャパンは、工場や物流での作業、デパート/ホテル/店舗における接客、病院での患者対応などに Telepathy Jumper が活用できるとみる。具体的な情報は開示できる段階ではないが、世界的なエンターテインメント企業など複数の企業と話をしているらしい。

なお、同様のウェアラブル デバイスを手がけている Google やソニーといった大企業とどのように競うのかといった質問が発表会の場で出たが、鈴木氏は「何にフォーカスするのか」が重要であると答えた。鈴木氏が強調したのは、「コミュニケーション デバイス」という位置づけ。「体験が共有されるようなコミュニケーション」「体験を分ち合うコミュニケーション」を実現するツールとして活用してもらい、新しいアイデアや発想が出てくる「共に創る場所(共創の場)」を誕生させたいと話した。

同氏によると、製品名に含まれる「Jumper」は「テレポーテーション」の意味で、「コミュニケーションが相手の近くまでジャンプして飛んでいくような」「テレポーテーションしてそこの場所へ飛んでいくような」イメージから名付けたという。そして、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)ならぬ「人のインターネット」を構築するデバイスにしたいと述べた。

ただし、発表会の場で実際に披露されたものは Telepathy Jumper による映像表示と、プレゼンテーション ビデオ内でデモが流された消費者向けの“視線共有”アプリケーション「Eye Connect」と、ピアノのレッスンなどさまざまなスキルの遠隔共有を支援するアプリケーション「Talent Buzz」の2つだけだ。可能性は感じるものの、キラー コンテンツになるかどうかの判断には迷う。

しかし、さまざまなウェアラブル カメラが登場するなか「GoPro」が人気を保っているように、“体験を共有する”というコンセプトが共感を呼んでヒットにつながるかもしれない。これから順次発表されるであろう具体的なアプリケーションやサービスに期待しよう。

ディスプレイの向こうに見えるのは未来なのか?
ディスプレイの向こうに見えるのは未来なのか?