◆データに意味を与える IoT
過去30年に渡り、多くの“データ”が生み出されてきた。だが、そのうちの90%近くが、過去2年間だけで生成されている。そしてそのデータを生成したのは、人間ではなくマシンだ。
Google は今年1月、スマートホーム製品を手掛ける Nest を買収した。その Nest は先月、Wi-Fi ビデオ監視カメラ Dropcam を買収している。そしてこの Dropcam は、世界中の家庭で膨大な映像“データ”を生み出し続けているのだ。そのデータ量は、人間が撮影して YouTube にアップロードした“データ”の比ではない。
だが、“データ”はそれ自体ではなんの意味も持たない。例えば、道路に埋め込まれたセンサーの作り出す“データ”は、“駐車場の空き情報”などの意味のある情報に加工されて初めて意味を持つ。
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データを意味のある情報に加工すると、価値が生まれる (出典:VisionMobile) |
そして、“データ”を意味を持つ“情報”に加工する現場に必要とされるのが、エンジニアなのだ。“データ”の量が増加するほど、必要とされるエンジニアの数も多くなる。
◆開発者ネットワークを構築できた企業が IoT の勝者となる
VisionMobile の最新のレポートでは、IoT 分野で必要とされるエンジニアの数は、2015年で81万3,000人、2016年で150万人、2017年には220万人と増加を続け、2020年には450万人に達すると予測されている。
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IoT 分野で必要とされるエンジニア数 (出典:VisionMobile) |
ではこの IoT 分野で勝者となるのは誰だろうか? VisionMobile は、モバイルの分野で Apple や Google が勝者となったのと同様に、開発者ネットワークを作り出すことに成功した企業が勝者になれると予測している。
Apple や Google はアプリストアにより、エンジニアが利益を生み出せる仕組みを構築。多くのエンジニアを惹きつけて開発者ネットワークを作り出した。アプリストアは同時に、利用者を惹きつけて、Apple や Google 製品の売上を牽引する役割も果たした。
同じように、開発者や起業家のネットワークを作り出せた企業が、IoT の世界での勝者になると、VisionMobile は述べている。レポートには次のようにある。
「IoT で利益を上げる唯一の方法は、ハードウェア、接続性、クラウドサービスの各分野でユニークな価値を生み出せる起業家のネットワークを構築することだ。IoT 技術への需要は、単一のキラーアプリから来るのではない。そうではなく、何千もの予測もしなかった新しい使い方から生まれてくる」