宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、5月24日に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の初期機能確認試験で、同衛星に搭載された L バンド合成開口レーダー(PALSAR-2)を用いて初の観測画像取得に成功した。同衛星の観測データは、災害発生時の状況把握や森林伐採の監視、オホーツクや極域の海氷観測などに貢献するという。

陸域観測技術衛星2号「だいち2号」が地球の観測画像取得に成功
だいち2号
(出典:JAXA)

今回取得した、台風26号の豪雨で大きな被害を受けた伊豆大島の観測画像では、PALSAR-2 の高分解能モードを使用した。3m の分解能は、これまでの地球観測衛星搭載の L バンド合成開口レーダーのなかでも世界最高の高さであり、視認性が向上することで、災害発生時の状況把握などがより詳細に行われることが期待できるという。

分解能が向上すると、地表の様子がよりはっきりとわかる
分解能が向上すると、地表の様子がよりはっきりとわかる

また、活発な火山活動が続く西之島周辺の観測では、PALSAR-2 の昼夜や天候によらず地表の画像を取得できる特性を生かし、夜間で観測範囲に噴煙が舞っている状況でも、地表の画像が取得できた。この特性により、PALSAR-2 では火山活動の継続的な監視ができるという。

火山活動で拡大を続ける西之島
火山活動で拡大を続ける西之島

JAXA は今後も引き続きだいち2号の初期機能確認試験を実施して性能を確認した後、8月中旬から観測データの校正検証を行い、11月下旬には一般利用者への提供を予定しているという。