検索エンジン最大手の米国 Google で、特定の日本語キーワードを入力すると、検索結果が不自然に少ないという問題が注目を集めている。「同性愛」「ゲイ」「レズビアン」など社会的少数者(マイノリティ)に関する単語も含まれ、単なる不具合か、意図的な除外か判断がつきかねるまま、ソーシャルメディアでは憶測が飛び交う状況だ。

Google、「同性愛」がらみの検索を制限?--それとも単なる不具合?
Google がソチオリンピックで掲げたロゴは、LGBT 支持のレインボウフラッグでもあった 

■意図的な除外?単なる不具合?

この問題については、6月上旬から徐々にうわさが立ちはじめた。一部の IT ニュースサイトは「ロリ(ロリータコンプレックス:少女性愛)」というキーワードにこだわり、検索結果が非常に少ないとして幾度か報道している。

一方、ソーシャルメディアでは、例えば「中学生」「未成年」などと「同性愛」「ゲイ」「レズビアン」といったキーワードを組み合わせると、検索結果が非常に少ない点に疑問の声が挙がっていた。

この現象は Google 検索の「セーフサーチ」を「オフ」にした状態で発生する。例えば「未成年+ゲイ」と入力した場合、検索結果の最初のページでは80万件以上の情報が見つかったと表示があるが、2ページ目に移ろうとすると10数件しかないと表示が切り替わる。検索結果の末尾にある「ここから再検索してください」というリンクを選ぶとやや検索結果が増える場合もが、やはり非常に少ないことに変わりはない。

通常、Google では検索結果のうち上位1,000件までを表示する仕様になっており、たいてい数百件の結果を閲覧できる。

児童ポルノ(CAM:児童性虐待記録物)に該当する情報を除外しているのではないかという指摘も出たが、Google では CAM を検索結果から除外した場合、その旨を「このページから児童虐待の可能性のあるコンテンツを削除しました」としてリンクとともに表示する。

■ LGBT を明確に支持する Google

しかし未成年と同性愛にからむ検索結果の奇妙な少なさが Google による意図的な除外なのかどうかについては、ソーシャルメディア上でも半信半疑、といった反応が多い。

というのも、Google は「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)」の運動を明確に支持しているからだ。例えば LGBT というキーワードで検索すると、その運動の象徴である「レインボウフラッグ」の帯が検索結果にあらわれる。 これは LGBT への敬意の印だ。

また同社は2月のソチオリンピックに際し、ロシアの「反同性愛法」と呼ばれる法律に抗議するため、サイトトップをレインボウフラッグで飾ったこともある。

ロシアの反同性愛法は、未成年に対し同性愛を含む「非伝統的な性的関係」の情報を表示することを禁じている。 ところが同法が「未成年を守る」という大義名分を掲げたにもかかわらず、欧米の政府や有力メディアはその裏に同性愛への憎悪や偏見があると指摘し、Google も反対の姿勢を示していた。

ロシアの反同性愛法に反対する Google が、日本語圏では未成年の同性愛に関する情報を検索結果から除外するというのは理屈が合わない、という訳だ。

ほかにも、「未成年+ゲイ」というキーワードでは Web 検索結果こそ非常に少ないものの、画像検索結果などはほかのキーワードと変わったところはないように見えることや、Google が過去に検索アルゴリズムを変更した際も一時的に検索結果に異常が生じたことを挙げ、意図的な除外の可能性を疑問視する声もある。

■ Google の今後の対応は


すでに Google 検索の公式プロダクトフォーラムにはユーザーがこの問題について質問を投稿している。不具合であるにせよ、意図的な除外であるにせよ、同社が LGBT や社会的少数者について真摯な方針を持っているのであれば、何らかの説明があると思われる。