野菜を生産するクリーンルームのイメージ(出典:東芝) |
工場のクリーンルームは、集積回路(IC)をはじめわずかなチリやホコリが命取りとなるような電子部品などを製造するために利用することが多かった。しかし国内では生産計画の変更などで使わなくなった「遊休施設」も増えている。
最近はこうした施設を、先端農業に生かそうとする取り組みが広がっている。富士通が稼働させた福島県会津若松市の野菜工場は記憶に新しい。
東芝が神奈川県横須賀市で立ち上げる野菜工場もその1つ。レタス、ベビーリーフ、ホウレンソウ、ミズナなどを栽培するために多様な機械設備を利用する。
例えば植物育成向けに光の波長を最適化した蛍光灯、均一な温度、湿度の環境を実現する空調機器、栽培状況を把握するための遠隔監視システム、梱包材などを消毒する除菌システムなどだ。
東芝は半導体事業で培った生産管理技術を応用して、これらを制御する。環境を調整し、ポリフェノールやビタミンCを豊富に含んだ機能野菜も作れるという。
野菜はすべてクリーンルームで育成し、高い鮮度が長期的に求められるカット野菜やサラダ用に出荷する。スーパー、コンビニエンスストア、飲食店などでの取り扱いを見込んでいる。2014年度上期中には出荷を開始し、年間3億円の売り上げを見込む。