Windows XP は、最も長く利用された Windows のバージョンとしてコンピューターの歴史にその名を残すことになるだろう。また、おそらくは今後も数年間は、多くの PC ユーザーがその利用を継続するはずだ。
この OS は、本来であれば数年前に市場から消え去っていたはずのものだ。だが、その人気の高さゆえに、Microsoft は今日までサポートを延長せざるを得なかった。
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Windows XP は、2000年代初頭のパーソナルコンピューティングを定義した OS として語り継がれるものとなるだろう。モバイルやクラウドが今後さらに普及した場合、Windows XP は、広く利用された最後のデスクトップ OS として認識されることになるかもしれない。
ここでは、なぜ Windows XP が10年以上に渡って使い続けられてきたのか、その理由を考えてみたい。
1. Windows XP は企業での利用に堪える OS だった
Windows XP が登場した2001年当時、オフィス内に PC がないという企業はまだ存在していた。だがこの状況はその後大きく変化する。そして、そのタイミングで登場したのが、Windows XP だった。
企業ユーザーは、Windows XP から多くの恩恵を受けた。XP は機能とユーザービリティのバランスが取れており、企業ユーザーの生産性を最大限高めるのに貢献した。その長期サポートのおかげで、企業は従業員に対し新しい OS に対するトレーニングをする必要がなく、一方従業員は業務に専念することができた。
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XP のデザインと機能性は、ビジネスを優先したものだった。そしてそれは、あらゆる層の企業にフィットした。
2. オフィスと家庭に同一の使用感を提供できた
Windows XP が登場する前、Microsoft は企業向けには Windows NT/2000、家庭向けには Windows Me を提供していた。だが両者の使用感は、かなり異なったものだった。
Windows XP が長年に渡り成功を続けられた最大の理由は、オフィスと家庭に同一の使用感を提供できたことだ。仕事で Windows XP を使用した従業員は、家に帰ってからその Home バージョンを使用し、オフィスと同じ利用体験を得ることができる。
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これは、XP の人気を高めるだけでなく、PC の売上を増加させることにも大きく貢献した。
3. PC ベンダーが Windows XP を高く評価した
PC ユーザーが XP の優れた機能の恩恵を受けられたのは、PC ベンダーがこの OS に高い価値を見出していたからに他ならない。
PC メーカーは Vista が登場するまで、あらゆるマシンに XP を搭載して出荷していた。Vista が失敗作とわかると、XP に戻り、出荷を続けた。
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PC ベンダーは、電源を入れたらすぐに Windows XP が使用できるよう、XP を PC にプリインストールして出荷した。だがそれだけではない。彼らは自分達の製造するデバイスを、Windows XP の機能がフルに活用できるように設計した。これにより、PC ユーザーと Windows XP は、多くの恩恵を受けたのだ。
また、Windows XP は Windows 2000 と比較して、より多くのデバイスドライバを搭載していた。これにより、企業利用者はドライバの心配なしで、プリンターなどの周辺機器を接続可能となった。
4. 「サービスパック」は重要だった
デビュー当時の XP のセキュリティに関する評判は散々なものだった。だがやがて、Microsoft はサービスパックを提供するようになる。これにより、Windows XP の使用感は徐々に向上していった。
サービスパック2 により、Windows XP はお金を払って購入する価値のあるものだと見なされるようになった。サービスパック3 は、この OS を完成されたものに仕上げた。
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サービスパックがなければ、Windows XP はここまで高い人気を得ることはなかっただろう。
5. 様々なコンピューティングデバイス上で利用できた
Windows XP の優れた点の1つは、それが様々な形態のデバイス上で稼働可能だったということだ。XP はデスクトップやノート PC 向けに設計されたものではあるが、ネットブックや、スタイラスを使うタブレット、ハンドヘルドデバイスなどにも利用された。プリンター内部に組み込まれたプリントコントローラーなどでも利用されている。
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6. 世界のあらゆる市場で支持された
XP は世界市場でも柔軟性を発揮した。マーケットが開発途上国であっても先進国であっても、XP は顧客を満足させることに成功した。
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コンピューターに対する要求は、国によって異なる。それぞれの国の需要をすべてカバーできる OS はほとんど存在しないが、XP にはそれが可能だった。
この事実は、Windows XP がどれほど重要な OS であったかを証明している。
7. 組み込み市場でも支持された
Windows XP の興味深いところは、それが多くの組み込み市場でも支持されていたという点にある。例えば、Windows XP は現在でも、世界中の ATM マシンで稼働を続けているのだ。
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Windows XP で組み込みデバイス向けアプリケーションを開発したエンジニアは、毎日使用している、使い慣れたプラットフォームで開発を進められるという大きなメリットを享受した。
Windows XP は、様々な産業や市場へと進出した、最初のメジャーな OS だった。
8. エンジニアは競って Windows XP アプリケーションを開発した
ソフトウェアは、Windows XP 成功のカギであり続けた。XP を使用する人が増えれば増えるほど、XP 向けのアプリケーションを開発するエンジニアの数も増加した。
これにより、Windows XP 向けのアプリケーションは種類も数も増加し、そのアプリケーションを利用したいと考える企業や一般ユーザーを惹きつけることとなった。
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XP 上で稼働するアプリケーションの増加が、Windows XP を必須 OS へと育てたのだ。
9. Windows Vista が失敗作だった
Windows XP がこれほど長期間利用者を引き付け続けた理由の1つに、Windows Vista の失敗があげられる。Windows XP は、本来であれば Windows Vista 登場の後、市場から消える予定だったのだ。
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だが利用者は、Vista が期待した通りの動作をしないだけではなく、ユーザーアカウント管理などのうっとうしい機能が追加されていることを知った後、Windows XP へと戻っていった。
10. 正しいタイミングでリリースされた正しい OS だった
Windows XP は、数百万、ひょっとしたら数億の人を、コンピューティングの世界へと誘った OS だった。
Windows 95 や Windows 98 は高い人気を誇った OS だったが、その利用範囲は、趣味の範囲に留まっているケースが多かった。だが Windows XP の登場以降、利用者は生活のあらゆる側面で、コンピューターへの依存を高め始める。
また、それまではコンピューターの必要性を感じていなかった業界さえも、Windows XP の登場と時を同じくして、コンピューターの採用を開始した。
Windows 95 がコンピューティングの人気を高めた OS とするならば、Windows XP は、毎日の生活でコンピューターを必須のものとした OS だ。
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Windows XP は、様々な人々が毎日の生活でコンピューターを必要とし始めたタイミングでリリースされた、人々の要求に応えることのできる OS だった。
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