スマートフォンの進化や保有者の増加に比例して、スマートフォン向けのアプリも日々増えている。スマホ向けアプリを自社コンテンツの一つとして開発する企業も増加し、スマホ広告においてアプリを活用した企業のプロモーションを目にする機会も日々増え続けている。それに伴い、アプリプロモーションツールや計測ツールも登場し、広告媒体各社からはアプリインストールを促進する広告メニューが続々とローンチされており、運用型広告を駆使したアプリプロモーションを実施している企業も増えている。

そのような背景の中、アプリ事業者あるいはアプリのマーケティング・プロモーション担当者は、何を広告効果最大化のための指標として設定しているかというと、おそらくアプリのインストール数および CPI(Cost Per Install:インストール単価)を指標として運用するケースが多いのではないだろうか。


今回はそこからもう一歩進んで、特にアプリプロモーションにおける運用型広告を取り上げ、アプリ計測ツールを活用したプロモーションの運用ノウハウについて解説していこう。なお、本コラムは無料ダウンロードタイプのアプリであることを前提に、アプリ内課金モデルアプリと広告収入モデルアプリを対象とする。

■アプリ用計測ツールで計測可能な指標

アプリ用計測ツールを導入することにより計測可能になる指標は複数ある。アプリダウンロード数・インストール数が計測可能になるのがその一つだ。また、インストール数計測に対応していないアプリ内運用型広告媒体のダウンロード数も計測可能だ。(計測ツールによっては、インストール時でなく、アプリの初回起動時のシグナルをコンバージョンとして計測するツールもあるが、ここでは便宜上それらもインストール数として述べる)

しかし、無料ダウンロードタイプのアプリにおいて、インストール数だけを指標として追っていたのでは、運用型広告への投資が本当に利益に結びついているかどうかを判断することは難しい。なぜなら、インストールしたままアプリを使わないユーザーが存在するからだ。

そこで、アプリの起動やアプリ内コンバージョンなど、アプリ内におけるユーザーアクションの計測が重要となる。それにより、投資効率を可視化し、実施施策の評価軸となる。余談だが、計測ツールを導入することで、異なるメディアや流入経路からの計測を一つの管理画面上で操作可能な点も、ツール導入のメリットといえる。

アプリプロモーションとして、インストール数の増加を指標とするケースは、未だ散見されるが、インストール数の増加は事業のゴールではない。多くのアプリ事業者にとってのゴールとは、アプリインストール数の増加ではなく、アプリを継続的に利用してもらうことであり、ユーザーに利用ベネフィットを提供して最終的に「課金収益」や「広告収益」を拡大していくことにある。そのためにも、アプリインストール後の利用率やアプリ内コンバージョンなど、アプリ内ユーザーアクションの計測が重要な指標であることは繰り返し述べる。

■アプリ用計測ツールを用いた運用型広告施策の評価

計測ツールを利用して広告の運用を始めたら、計測ツールを用いて各運用メディアを実際に評価していこう。一例として、広告成果を下記のような評価軸に分類してみてほしい。

スマホ向けアプリ計測ツールを導入しよう〜計測可能な指標と、運用型広告施策の評価軸〜
スマホ向けアプリ計測ツールを導入しよう

一方の軸にインストール数、他方の軸には各メディアの広告経由インストール後の利用率を置く。今回は便宜的に利用率と表現しているが、アプリの性質によって1アプリ当たりの CV(コンバージョン)数や ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー1人当たりの平均売上金額)などに適宜置き換えてほしい。

下記に各分類の簡単な解説をしよう。

A はインストール数も多く、インストール後の利用率も高い、もっとも評価すべきメディア。CPI 目標を引き上げて更にインストール数を増やしていくなど、投資余地があるなら積極的に投資をしていきたい。

B はインストール数は少ないものの、利用率が高いメディア。ポテンシャルを秘めたメディアだと言える。インストール数が少ない要因を分析し、例えば後述のキーワード別分析などを用いて拡大の余地を探していきたい。利用率が高いため、CPI 目標の引き上げも検討できる。

C はインストール数は多いが、利用率が低いメディア。広告に接触した際のユーザー期待値と、アプリ内のコンテンツにギャップがあると考えられる。利用率の上昇が見込めない場合は、A、B よりも CPI 目標を引き下げて運用すれば投資効率は高まる。

D はインストール数も利用率も低く、プロモーション全体に対してインパクトを残せていないメディア。もしこの部分に人的・時間的リソースを多く費やしているならば、運用の停止を推奨する。

例えば、広告運用の結果リスティング広告が分類 C に当てはまったとしよう。この場合は他と同じ CPI でインストール数が多いため、今までは成果が良いと思っていたが、実は最終的な利益にあまり貢献していなかった、という判断ができる。

あるいは、ディスプレイ広告が分類 B に当てはまったとすると、インストール数が少なく軽視していたメディアだったが、実は大きなポテンシャルを秘めていたことが読み取れる。この場合は CPI 目標を引き上げたり、配信量を拡大することで広告投資を最適化できるようになる。

上記のような手法で運用メディアを明確に評価し、メディアごとの改善プランや予算配分、CPI 目標などを再設計することで、更なる広告投資の効率化が可能となる。

アプリ計測ツールは、設定によって更なる最適化も可能だ。例えばリスティング広告を各キーワード別まで分析していった場合は、流入したキーワードによってインストール後の利用率が異なることなどが発見できる。上記の評価軸を用いてインストール率も利用率も高い A に分類されるキーワードに類似したキーワードの網羅性を高める、あるいはインストール率・利用率ともに低い D に分類されるキーワード群を減らしていくことで、リスティング広告内での最適化を進めることができる。

また、ディスプレイ広告ではデモグラフィックやジオグラフィックベースなどの配信をおこない、それぞれの利用率を調査することも可能だ。インタレストベースの配信では、興味・関心でカテゴライズされたユーザーグループごとに広告成果を把握し、投資判断と広告運用施策の改善に活かせる。

このように、様々な広告運用施策をそれぞれ深堀って検証と改善を重ねていくと、結果としてアプリをインストールし使い続けてくれるユーザー、つまり「そのアプリビジネスにとって重要なユーザー」がどの評価軸上にいるどのような人物なのか、といったことまで推測できる。そうして得た情報は、広告運用施策の改善だけではなく、アプリのコンテンツ自体の改善にまでフィードバックすることが可能だ。

日頃アプリのプロモーションに身を置いている事業者やマーケティング・プロモーション担当者は、インストール数からもう一歩進んだ「利用率」や「ユーザーアクション」の計測を取り入れることで広告投資を効率化し、ひいてはアプリ事業自体をより拡大していっていただきたい。

執筆:株式会社アイレップ 第4コミュニケーション本部 青山友樹
記事提供:アイレップ