IDC Japan は、国内データセンター(DC)の拠点数と延床面積の予測を発表した。国内に設置され利用されているデータセンターの数は、2014年末時点で8万2,238か所だった。

調査は、通信事業者、IT ベンダー、クラウド事業者などが所有する「事業者 DC」と、金融機関、官公庁、一般企業などが所有する「企業内 DC」の両方が対象。2014年末時点の8万2,238か所のうち、事業者 DC は599か所、企業内 DC は8万1,639か所だった。企業内 DC 8万1,639か所のうち、面積が10平方メートル未満の小さな DC が4万3,857か所と半分以上を占めている。

DC が設置されている建物を竣工年別にみると、1990年代に竣工した建物が最も多く42.9%を占めている。90年代に建設された「インテリジェントビル」と呼ばれるオフィスビルが、今も使われているケースが多いようだ。これらの DC では今後築25年を越えるところが増え、電力供給能力不足や設備運用効率の低下といったファシリティの老朽化が課題となる可能性がある。

国内データセンターは建物の老朽化や建設コストが課題に--IDC の調査
1990年代に竣工した建物を使っている DC が最も多い

2019年末時点における国内 DC の拠点数は6万8,811か所に減少すると、IDC は予測している。IT インフラの統合がすすみ、小規模な DC や老朽化した DC が大型で最新設備を持つ DC に統合されるためだ。一方、クラウドサービスや IT アウトソーシングの利用拡大によって、事業者 DC では延床面積が増加。2014年末時点の DC 延床面積192万7,300平方メートルから、2019年末には222万6,377平方メートルに増加する見込み。これに対して企業内 DC では、延床面積も減少傾向が続く予測。

現在建設労働者の不足により、国内では建設コストが上昇している。IDC Japan IT サービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「データセンターの建設コストが上昇しているため、老朽化した DC の廃止や DC 新設にかかるコストが上昇している。既存の DC の電源増強ソリューション、老朽化した DC の統合/最適化コンサルティングに DC ファシリティ事業者は注力すべきである」と分析している。

今回の発表は、IDC が発行したレポート「国内データセンターセンサス 2014年の推定と2015年〜2019年の予測」(J15350102)にその詳細が報告されている。同レポートでは規模別、地域別、築年数別に、国内データセンターの拠点数および延床面積の予測をまとめている。