PC 向け Web ブラウザの世界市場では「Chrome(クローム)」が利用シェア2割に達する一方で「Firefox(ファイアフォックス)」はじりじりと後退し15%弱まで落ちた。オープンソース陣営にとっては若干の考慮を必要とする状況だ。米国の調査会社 Net Applications の推計で明らかになった。

ブラウザ栄枯盛衰-- Chrome(クローム)がシェア2割超に、Firefox(ファイアフォックス)は15%弱に後退
Chrome は Firefox に対する優位を確立しつつある

■ Chrome、PC 市場で「2位」の座を盤石に

Net Applications の統計によると、9月の PC 向けブラウザ市場では米国 Microsoft の「Internet Explorer(IE)」がシェア 58.37% で不動の1位。

一方、2位争いではこの3月を分水嶺に、米国 Google の開発する Chrome が、米国 Mozilla の Firefox に対しリードを広げ、その差は決定的なものになりつつある。

Chrome、Firefox のシェア推移(Net Applications の推計をもとに作成)
Chrome、Firefox のシェア推移(Net Applications の推計をもとに作成)

スマートフォンの台頭で、PC 向けブラウザ市場にかつてほどの重要性はなくなった。とはいえ、Firefox というブランドの存在感が低下すれば、Mozilla が進めるモバイル機器向け OS「Firefox OS」など新事業に影響しかねない懸念もある。一方、2位としての地位を固めつつある Google はノートPC「Chromebook」などの事業を伸ばすためにも、今後 MS の IE をどう切り崩すかがあらためて問われるだろう。

またオープンソース陣営にとっては、従来の標準だった Firefox が劣勢にあり、プロプラエタリな Chrome が優勢な状況をどう評価するかが重要になる。もちろん Chrome のもとになっている「Chromium」ブラウザはオープンソースで、Linux ディストリビューションへの採用実績もある。最終的には Google のプロプラエタリ製品に資する結果になろうとも、気にせず Chromium を選べばよいという考え方はできる。

■ Chrome はモバイル市場でもシェア拡大続く

Net Applications の推計によると、Chrome はモバイル向けブラウザ市場でもシェア拡大を続けている。

9月のシェアは実に21.48%。1年前の6.34%と比べると3倍以上と、にわかには信じがたい数値だ。現在は Android の標準ブラウザと拮抗しているが、この傾向が続けばいずれ完全に追い抜き、2位としての地位を固めるだろう。

Safari、Chrome、Android 標準ブラウザのシェア推移(Net Applications の推計をもとに作成)
Safari、Chrome、Android 標準ブラウザのシェア推移(Net Applications の推計をもとに作成)

モバイル向けブラウザ市場の1位は iPhone や iPad が標準搭載する米国 Apple の「Safari」だが、シェアは縮小傾向。Android スマートフォン、タブレットのすそ野が急激に拡大している影響と見られる。

なお、Firefox のシェアはなきに等しい。

ところで Net Applications とは別の調査会社であるアイルランド StatCounter の推計では以前から Chrome が PC 向けブラウザ市場でトップを維持し、モバイル向け市場でも9月は Android 標準ブラウザを抜いて首位に立っている。