旭酒造富士通は、旭酒造が製造/販売する日本酒「獺祭(だっさい)」の原料となる酒造好適米「山田錦」の生産量増加と安定的な調達に向けた取り組みを開始した。2014年4月より、富士通は「山田錦」を生産する山口県内の2生産者に、食・農クラウド「Akisai」の農業生産管理 SaaS とマルチセンシングネットワークを導入。2生産者の「山田錦」の栽培作業実績情報の収集・蓄積と可視化を手助けしている。

環境情報を蓄積するマルチセンシングネットワーク
環境情報を蓄積するマルチセンシングネットワーク

2010年度以降、純米酒や吟醸酒など高級品の出荷量が増加している一方で、その原料である酒造好適米の生産量は横ばいが続き、全国で酒造好適米が不足している。旭酒造でも、日本酒の「獺祭」の製造に使用している「山田錦」の生産が追い付いていない。

生育中の「山田錦」
生育中の「山田錦」

富士通の「Akisai」は、日々の作業実績や、使用した農薬・肥料・資材、草丈・茎数などの稲の生育状況、収穫時の収穫量・品質などをパソコン、スマートフォン、タブレットなどのデバイスで記録。その他にも、圃場にセンサーを設置し、気温・湿度・土壌温度・土壌水分などを1時間ごとに自動で記録したり、定点カメラにより、毎日正午に生育の様子を撮影したりするという。

収穫の時期を迎える今秋には、栽培成績(収穫量、品質)の良かった作業実績を参考に、栽培暦(栽培の手引き)の作成、把握が難しかった生産過程全体にかかるコストを作業実績から算出、また農薬・肥料の使用実績情報から作成した生産履歴情報で、安全性の担保などを行っていくという。