東芝とイビデンは、耐熱性と耐酸化性に優れた炭化ケイ素(SiC)を素材とする原子力発電プラント向け炉心材料の製造技術を確立し、燃料集合体カバー材の試作に成功した。

東芝、炭化ケイ素を用いた炉心材料の製造技術を確立
試作した燃料集合体カバー材

今回、燃料集合体カバー材に適用した SiC は、SiC 長繊維で構成して強度を向上させた SiC 複合材。SiC 複合材の製膜工程に化学気相成長法(CVD)を用い、製膜装置と製膜プロセスを最適化することで、従来比20倍の製膜速度を実現した。

また、特殊炭素素材に機械加工を施した型を用いることで、SiC 長繊維を燃料集合体カバー材の形状に成形するとともに、CVD 装置を長尺化することで、4m 超の燃料集合体カバー材を密度と強度を保ちながら、高い精度で製造できるという。この技術は、薄肉長尺円筒などの特殊な形状にも適用でき、燃料被覆管にも応用できる。

今後、2016年度以降、研究炉で試験を行い、データ収集、検証を経て、2025年以降に既設プラントの交換部品として実用化を目指す。