弊社の以前の Web 解析に関する記事でも述べているが、Google の検索エンジンが Web サイトの順位を決定する要因として、サイト内に網羅されたコンテンツの構成要素に対する評価が、非常に重みを増している。

外部サイトから受ける被リンクなど外的要素の評価も、ユーザーの行動から自然に発生したものかどうかを重視し、リンクを掲載する外部サイトのコンテンツ構成そのものに対する評価も、一層厳密になっていることは、すでにご存知であろう。


■コンテンツによるユーザーとの対話は Web サイト運営の基本

これら検索エンジンの進化に合わせた SEO 施策として、Web サイトを構成する上でごく当たり前な要素であり原点でもある、「コンテンツ」というキーワードが注目を集めている。

しかし、なにも新しい技術で特別な施策をするというわけではない。SEO を起点としたコンテンツ施策といっても「ユーザーの『検索ニーズに応える』コンテンツ群が網羅されているか」ということであって、ユーザーのことを第一に考えたコンテンツを設計するという、極めて当たり前の運営そのものが、検索エンジンによる Web サイト評価の中心になっているにすぎない。

ユーザーに「寄り添い対話できる」有意義な情報を!という運営側のマインドが大切であることは、コンテンツマーケティングが声高に叫ばれる現在も、Web コンテンツの黎明期も、今も昔もなんら変わりはない。

■SEO 施策としての「コンテンツ」とは?

さて、SEO の論点としてコンテンツ施策を捉えると、「寄り添い対話する」対象が「検索エンジンのユーザー」として捉えた設計のコンテンツ群、ということになる。検索ユーザーは解決策を知りたい課題、教えてもらいたい課題があるからこそ検索をするのであって、例えそれが余った時間の暇つぶしであったとしても、「暇な時間を解決したい」という課題を持って検索している。

SEO 戦略からみたコンテンツマーケティング設計の手法(前編)
図1

まず図1に示すように、Web で情報を求めて回遊するユーザーのモチベーションを分類し、マッピングしてみよう。何かしらの有意義な情報(あるいは暇を潰せる情報)を Web に求め回遊するユーザー、知りたい情報を求めて回遊するユーザー、何かしらの解決すべき課題があってブラウザを立ち上げる。

やがて課題を持ったユーザーがキーワード検索に至った時、その課題に「寄り添い対話する」コンテンツが検索結果にインデックスされる状態を構築できているかどうか。つまりは検索モチベーションのバリエーションに応じ、受け皿となるコンテンツが網羅されている状態が構築できているかどうかが、SEO を主軸においたコンテンツの設計の鍵となる。

ちなみに、本来は課題を持たないネット回遊ユーザーに対し、ユーザーが潜在的に「実は欲していた」答えや課題に気づかせるのも、コンテンツの持つ非常に大きな役割なのだが、そこへの言及はまた別の Web 解析に関する記事に機会を譲る。

■Webを回遊するユーザーの検索行動を想定する

次にこのマッピングに検索エンジンのユーザー行動を想起してみよう。これはサイト運営者ご自身が、一般の生活者としてネットサービスを利用する際の気持ちになり、心理的な側面を検索キーワードに置き換えてみるのが一番手っ取り早い。

図2に示すように、ネット回遊の時に知った情報や、興味や関心を持ったものに対して、さらに詳しく調べようとすることだろう。これはなんという商品(あるいはサービス)なのか? どのような美点があるのか? 自分の暮らしを豊かにしてくれそうなものなのか? あるいは今抱えている自分の課題を解決してくれそうなものなのか?

図2
図2

そこからさらに踏み込んで、皆さんがオンライン決済でモノを買おうと思った時、あるいはサービスを申し込む時や資料請求をしようと思った時、他にもっといい商品やサービスがないのか比較し、より安価なサービスサイトがないのかを調査する人も多いだろう。

その際は価格比較サイトやサービス比較サイトが検索の受け皿になることも多く、ユーザー自身が比較サイトのブランド名を列挙して商品検索をするケースも非常に多い。商品やサービス比較に関する検索市場のSEOは激戦区でもある。

また、なにもゴールはオンライン上だけとは限らない。ユーザーが納得いく情報が得られず、サービスによってはユーザーが店舗に足を運ぶ選択をするケースもあるのだ。

■想定される検索キーワードのニーズに当てはめコンテンツ戦略を練る

では、実際にデジカメの商品ラインナップに強い架空のガジェット販売サイトを例として、コンテンツ戦略案を練る上で狙いのキーワードを選定してみよう。(以下、実際の SEO 施策検証結果を参考にしつつ、あくまでも架空の Web サイトの架空の検証結果として述べる。実在の Web サイトや実際の検索結果とは異なるので、ご留意いただきたい)

例えばデジタルカメラは種類も多い上に機能の進化も早く、何を買って良いのかわからないというユーザーも多い。そこで、図3のように Web 解析ツールの検索流入キーワードの集計結果や、Google トレンドなど検索キーワード観測ツール、検索のサジェスト機能の情報を元に、おすすめの機種やスペック比較に関する検索が多いとユーザーニーズに当たりをつけ、最新のデジカメ情報や機能のトレンドを集約したコンテンツを量産し配置したとする。

図3
図3

また、商品個別のページに記載するスペック情報を充実させ、口コミ機能も付けることとした。もちろん、ページごとに在庫状況や納期を丁寧に記載する仕組みとし、決済方法も明記している。

■コンテンツは「作ってしまえばいい」というものではなく検証が必要

実際のコンテンツ量産運用開始から数か月経ち、図4のように Web 解析で結果を見てみると、デジカメの最新情報や最新機能のスペック比較に関する検索キーワードによる訪問が増加し、コンテンツの成果が見え始めた。

一方、価格比較や口コミに関するキーワードによる訪問が少ない状況は、激戦区のキーワードであるため仕方ないとしても、せっかく実装した口コミ機能もユーザーが定着していないためか、口コミ件数そのものが増えず、レビューや口コミに関する検索キーワードによる訪問(また口コミページをランディングページとする訪問)は非常に少なかった。

さらに局所的な検索モチベーションのキーワードだけが成長し、検索キーワード観測ツール、検索のサジェスト機能で見られる検索規模の大きなキーワードのバリエーションの中には、自社サイトでは少数の訪問しか獲得できていないキーワードも多数あった。

図4
図4

その少数の検索訪問のキーワードの中には、「wifi」や「防水」という、これまで見られなかったキーワードによる訪問も観測され始めたとする。おそらくデジカメ最新機能のトレンド比較コンテンツによる相乗効果であろうが、そのキーワードによる訪問数が少ないため、試しにサイト運営者が検索してみると、デジカメ関連キーワードによる検索結果の1ページ目の下位を争っている競合サイトが、これらのキーワードでは上位に表示されていた。

競合サイトのコンテンツを入念にチェックすると、週間の人気機種ランキングや「wifi」「防水」など旬の話題となっている機能の活用方法、プロカメラマンによる話題の機種のロングランレビューが掲載され、機種比較だけではなく「情報の更新性」「選び方」「旬の話題」「ライフスタイル提案」「プロのレビュー」など、ユーザーの幅広いモチベーションに応える情報が多く盛り込まれていた。また、購入ガイドに関するTIPSコンテンツや、商品一覧の在庫商品絞り込み機能、納期ごとの商品絞り込み機能が充実しており、その使い方もていねいに解説したコンテンツが用意されていた。

自社サイトに足りないコンテンツ要素を競合サイトが多く網羅し、恐らく旬の検索キーワードや、商品比較に至る前、購入検討初期段階のユーザーの検索モチベーションによる訪問を多く獲得できていた可能性が非常に高い。それらは実際に、該当する検索キーワードのボリュームを検索キーワード観測ツールによって想定し、競合サイトの検索結果表示順位を確かめ比較すれば一目瞭然でもある。

■ユーザーの行動シナリオから見たSEO施策の反映

以上は、あくまで仮想のガジェット販売サイトによる説明で、実在するサイト群及び検索結果と異なることはご留意いただきたい。だが、実際のコンテンツ運用設計はこれらのように、

・ユーザーのモチベーション変化に応じた検索キーワードを選定
・Web 解析で訪問を獲得しているキーワード群、獲得できていないキーワード群を調査
・競合に網羅されているコンテンツを調査

することで、それらキーワードを適切に配置する記事内容を担保しつつ、一番大事な要素として、ユーザーの行動やニーズを理解した「寄り添い対話できる」有意義な情報をもつコンテンツを設計することが大前提となる。

今回、前編ではユーザーに該当する商品やサービスの必要性が顕在化し、サービス選定に至るコンテンツ施策のケースを解説したが、次回の後編では競合サイトのコンテンツ網羅性の例に見られたような、ユーザーのネット回遊から誘引する、より広い情報収集段階の検索ユーザーを対象としたコンテンツ設計について述べたい。

執筆:株式会社アイレップ ソリューション統括本部 グループマネージャー 床尾一法

記事提供:アイレップ