かつて仮想通貨「ビットコイン(BTC:Bitcoin)」最大の取引所だった Mt.Gox(マウントゴックス)が、破産手続きを開始する見通しを発表した。この2月に建て直しのために民事再生手続きを申し立てていたが、東京地方裁判所から棄却された。

「Mt.Gox」建てなおし断念--かつてのビットコイン最大の取引所は破産へ
Mt.Gox の Web サイトでは残高確認などは引き続き行える

東京都に本社を置く Mt.Gox は、ビットコインブームの立役者の1つで、ドルや円といった現実の通貨とビットコインを交換する取引所の中では群を抜く規模を誇っていた。しかし2013年後半から取引が不安定になり、2014年2月には預かっていたビットコインのほとんどが消失したとして事業を停止。民事再生手続きを申請している。

同社が苦境に陥った経緯は今もって不明点が多い。当初はサイバー攻撃によってビットコインの盗難に遭ったと主張したが、あとになって相当額が消失せずに残っていたと表明していた。一方で、銀行口座に預けていたはずの現実の通貨についても不足しているなど、単に悪意あるハッカーの仕業などで説明するのは難しい問題がいくつもある。

ともあれ、今回の民事再生手続き申請の棄却で、再建の芽はなくなった。

Mt.Gox の財産の保全管理人である弁護士は、同社の公式サイトで Q&A を公開するほか、電話窓口(03-4588-3921)で、ユーザーからの問い合わせに対応している。ただ、Q&A に掲載した内容以上のことは答えられないと断っている。

Q&A によると、Mt.Gox が正確にはどれくらいビットコインや現実の通貨を保有しているのかは今後、保全管理人などがあらためて調査することになる。また Mt.Gox 自体が取引所を再開するとは考えられないが、適切なスポンサー候補があらわれれば、そちらへ事業の引き継ぎを検討する見通し。

Mt.Gox の破産が、ビットコインを扱うほかの取引所に与える影響はどうだろうか。米国 Coinbase では交換レートは 1BTC あたり500ドル超の水準。4月中に一時400ドルを割っていたが、若干回復している。取引量も大きな変化は起きていない。とはいえ先行きはまだ見えない状況だ。