スマホはあと5年で死んでいく?―大手通信機器メーカーの分析が話題に
あと5年でiPhone(左)が時代遅れになり、AppleWatch(右)のような製品が主流に?はてさて

「あと5年でスマートフォンは死んでいく」。海外のニュースサイトでそんな記事が注目を集めたのが12月初旬。大手通信機器メーカーのEricsson(エリクソン)が一般人に行った意識調査に基づく予測だ。

大づかみに言えば、人工知能(AI)の進化によって、手に持ったスマートフォンの画面を操作するより、腕時計型などのウエアラブルデバイス(身にまとう通信機器)に話しかけてさまざまな情報を得る方が便利になる、という話題だ。

根拠になっているのはエリクソンが発表した「2016年にホットな10の消費者トレンド(Ericsson's 10 hot consumer trends for 2016)」というレポート。これをもとに「Metro」や「The Telegraph」といった新聞が書き立て、日本でもブログ「Agile Cat」が紹介した。

実際にレポートを読んでみよう。報道が取り上げたのは「AIがスクリーンの時代を終わらせる(AI ENDS THE SCREEN AGE)」という短い章らしい。

ここでは確かに従来のスマートフォン画面に指で触れる操作を、AIと対話するやり方が置き換えていくだろう、という意識調査の結果を伝えている。さらに「今やスマートフォンユーザーの2人の1人は、あと5年でスマートフォンが過去のものになっていくと考えている」と述べてもいる。とはいえ、さすがに「スマートフォンが死ぬ」と断言してはいない。

またレポートではスマートフォンの役割を代替する機器として、ウエアラブルデバイスだけでなくAIを備えた家電にも注目している。エリクソンの調査によると、スマートフォンユーザーの85%は、あと5年で人間のアシスタントになるウエアラブルデバイスが一般化すると考える一方、半数は人間のように家電と対話できるようになると信じている。いわゆるIoT(モノのインターネット)にもつながる発想だ。

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AIにより対話できる家電が増えることを予測する人も多い(出典:Ericsson)

さて、この話題に対する日本での反応はといえば「音声入力は人前では使えない」といったセキュリティや恥じらい、つつしみからの否定的な意見や、「AIが十分に進歩すれば悪くない」といった肯定的な意見までさまざまだ。使い分けや、ケースバイケースだという声もある。

ちなみにレポートでは、AIの利用を肯定する人を対象に、どんな場面で使いたいかを尋ねた結果もまとめている。「ネット検索」(73%)、「旅行ガイド」(64%)などには多くの支持がある。一方や「医療アドバイス」(43%)、「金融アドバイス」(41%)になると導入意向は減っていく。

AIを使いたいかどうかは用途により差異も(出典:Ericsson)
AIを使いたいかどうかは用途により差異も(出典:Ericsson)