ウェアラブル機器の多くはバッテリの電力で動作するため、長時間使用するには、消費電力を抑える工夫をアプリケーションに実装する必要があった。
今回、個別のセンサーごとの実装を不要にし、各機器に搭載したセンサーを自動的に使い分け、最も少ない消費電力になるようにセンシングを実行する、センシング ミドルウェアを開発した。
このミドルウェアに対応したファームウェアをウェアラブル機器に組み込むことで、アプリケーションの開発者は、人の動作や居場所など、センシングで得たい情報を指定するだけで、従来の約10分の1の工数で、省電力アプリケーションを開発できるそうだ。
ウェアラブル機器は、スマートフォンやタブレットと違い、ハンズフリーで情報にアクセスできるため、端末操作で作業を中断することなく、業務を遂行できる。工場や倉庫、病院、店舗などで、例えば歩行中は作業場所への誘導を、作業場所で立ち止まると、作業に必要な支援情報を提供する、といった、行動や周囲の状況に合わせてタイムリーに情報を提供、現場での作業ミスを減らすことができる、という。
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ウェアラブル機器による現場作業支援の例 |
状況に合わせてタイムリーに情報を提供するには、常に人の情報を採取し、判断し続けなければならないが、スマートフォンやウェアラブル機器はバッテリの電力で常時稼働しているため、アプリケーションや対応サービスの開発には、消費電力を抑える工夫が必要だ。
今回、低消費電力なセンシング アプリケーションを開発できるフレームワークを開発した。開発した技術は、センシングミドルウェアとセンシングノード。
センシング ミドルウェアは、アプリケーションからのセンシング要求に、消費電力を抑えるように自動でウェアラブル機器にセンシング処理を振り分けるミドルウェア。
センシング ノードは、センシング ミドルウェアから送り込まれる指示に従って常時センシング処理を行う、ウェアラブル機器側のファームウェアモジュール。ウェアラブル機器のセンサーと低消費電力プロセッサで、センサーデータの取得、加工、条件判定を、低消費電力で長時間継続する。
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センシングアプリケーション開発フレームワークの概要 |