「苹果 iPhone 6/6 Plus」「無鎖」「日版」「直郵」。9月22日時点で、中国語圏の大手ショッピングサイトには興味深い説明の付いた商品が並んでいる。携帯電話会社をあとから変えられる「SIM ロックフリー(SIM フリー)」版 iPhone 6 を日本から発送する、という意味だ。

iPhone 6 狂想曲 --「SIMフリー」が海の向こうから招きよせたもの
中国語圏の大手ショッピングサイト

■直営店の「行列」に変化



これらのサイトを目にしたとき、さして驚きはしなかった。米国 Apple の新型スマートフォン iPhone 6/6 Plus 発売をめぐって、調査に取材にと街を動いているあいだに、海外への転売を予想できそうな光景には幾つもぶつかったからだ。

iPhone 6 /6 Plus 発売前夜の9月18日、そして当日の19日。日本では例年のごとくお祭り騒ぎが繰り広げられたが、一方でいつもと違ったようすも見られた。

例えば Apple の直営店 Apple Store にできた行列だ。18日16時ごろに銀座店の前に並んでいたのは、最新のモバイル機器などにさほど関心を持っていないであろう層。比較的高齢で服装の似通った人々が寝そべったり、座り込んだりしていた。「場所取り」のために雇われたらしいと誰でもすぐ察しがついた。

また18日16時30分ごろ表参道店に並んでいたのは、より若い年齢層が中心だったが、話しかけると日本語が通じにくい相手が一定の割合を占めた。どうやら外国から来た人のようだった。その多くは取材に対し、SIM ロックフリー版の iPhone 6/6 Plus を購入するつもりだと答えた。

このように直営店には発売日前から従来と異なる客層を含む長い行列ができたのに対し、大手家電量販店、ビックカメラ有楽町店には18日深夜になってもほとんど人が並んでいなかった。せいぜい3、4組。朝になってようやく出勤前の会社員などが訪れて列が伸びたが、直営店とはまったく雰囲気が違った。原因はほぼ間違いなく SIM ロックフリー版の取り扱いの有無だろう。ビックカメラではキャリア版だけを販売している。

■ 日本で買って海外に売る

日本でも、以前から香港版など海外の SIM ロックフリー版 iPhone を仕入れて売り買いする市場はある。ロックがかかっていない端末は、外国で売られているものでも自国の携帯電話会社のサービスを利用しやすい。

従って、日本で SIM ロックフリー版の iPhone が登場した以上は、当然ながら中国など海外への転売も起こりうると考えるべきだったろう。

とはいえ、Apple Store 銀座、表参道にできた行列の異様さはやはり、多くの人を動揺させた。Apple 自体にとっても転売を目的とする業者が直営店の前に人を並ばせる構図がブランドに寄与するとは思えない。SIM ロックフリー版により、市場の垣根が崩れたことで、よきにつけあしきにつけ、今後 iPhone 発売日のお祭り騒ぎは在り方を変えていかざるを得ないだろう。